第6話

始祖と小娘
16,063
2021/01/12 00:09
産屋敷「ということなんだよね」
柱の皆は黙って下を向く
産屋敷「皆の気持ちは分かるし、それを私も尊重したい。だけど」
『まずは鬼をこの世から消す…ということですよね、』
産屋敷「…あなたは一番嫌がる任務かもしれない。でも私はこの任務はあなたにしか出来ないと思っているよ」
『…御館様の仰せのままに。気にしなければいい話です。私は構いません。』
隣の無一郎が心配そうに私を見る
無一郎「大丈夫なの…?」
『大丈夫大丈夫!復讐するくらいの意気込みで行くよ(^^)』
産屋敷「間違っても殺さないでね?」
『御意』
他「(やりかねないから怖い)」
中学にはトップの成績で居るし、そこそこでもいける気がする。
そんじょそこらのボンクラには負けないよ☆
産屋敷「…じゃあこれで柱合会議は終わりだね。あなたは入学手続きをするから後でおいで。鬼舞辻も」
『御意』
無惨「…フン」




『…終わったァ』
入学手続きを全て終え、椅子で伸びる
……待て、ついさっき柱合会議で了承したのにもう入学手続きがあるって事は…
『御館様、まさか最初から私が受けるのを分かっていて…』
無惨「やっと気付いたのか?阿呆だな」
『頚を斬られたいんだねホラだしてよ』
無惨「そんな金出してみたいに言うな。……お前は私の事が憎いんじゃないのか」
無惨がポツリと言う
『憎いね、めっちゃ憎かった。』
無惨「…」
『でも、無惨より憎いもの出来ちゃったからさ☆』
無惨「………」(引いた目
『なんだその目は。お生憎様、私は炭治郎みたいに優しくないし、とりあえず嫌いなものはとことん嫌いなの。1回ビンタさせてくれたら許すよ』
無惨「お前にビンタされるなら憎まれてていい」
『んだとコラ。……まぁ今はもう人間だしさ。それになんだかんだで鬼殺隊に協力してくれてるもんね』
無惨「…土下座するのがもう嫌なだけだ」
『あははは!!傑作だったよ、アレ!まだ動画あるもん』
携帯をいじって写真を遡る
土下座した鬼舞辻に私達がめちゃくちゃ暴言やら何やら吐いてる動画。
…趣味悪いって??黙らっしゃい殴るよ。←
無惨「消せ一刻も早く消せ」
『消さない、これは鬼舞辻の罪滅ぼしだからね!大丈夫だって、私は元鬼も含めた鬼殺隊が大好きだからさ!!』
にぱっと笑えば鬼舞辻が目を見開いた
無惨「!(…こんな所も変わらない小娘、これ程までに心が洗われていく。そして、私達元鬼も鬼殺隊だと言ってくれるとは…)」
『…私さ、前世で両親になんもしてあげられなかったの。だから今世ではって思ってたんだけどな…』
無惨「…」
じわ…と涙が滲む
あはは、泣かないようにこの11年間頑張ったのにな。
無惨「…泣けばいいだろう」
『…』
無惨「…まだ15なのだから」
『…ありがとう』
無惨「!」
ぽろぽろ涙が頬を伝って、太腿を濡らす
『何でかな…私、神様にでも嫌われてんのかな…まだお母さんとお父さんとずっとずっと一緒に居たかった…!』
鬼舞辻は私の涙をそっとハンカチで拭ってくれた
『…お母さんもこんな事してくれたなぁ。長くて細くてすべすべな手。お父さんは皮が厚かった。職人さんだったし…あの手で私の頭を撫でてくれた。』
そう言うと鬼舞辻は私の頭を撫でてくれた
…ロボかよ
『…ありがとう鬼舞辻。まさかアンタにお礼を言う事になるとは思ってなかった』
無惨「…案外お礼を言われるのも良いな」
『でしょ?前世の分は今世で返しとけ!』
無惨「…ああ(まだ15の小娘。なのにあんなに大人びた顔をするのだな…)」
『…お母さん、お父さん、天国で幸せに暮らして。いつまでも皆の喜びが続きますように…』
窓の外の月にお願いをする
…これをすると落ち着くんだよなぁ。
『遅いし帰るね!じゃあまた!!』
無惨「…気を付けてな」
『はーーい!』



※ここからはクソ長いのでそれでも良い方だけ読んでください。
上に戻って次話を見た方が早いかもしれません。





*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜余談
鬼舞辻は人間に生まれ変わって、一回病んでいます。
母、父、兄、無惨の家系だったのですが
母は無惨が10歳になって直ぐに病死、父はヒーローに冤罪をかけられ死刑、父が死刑囚だと虐められた兄は自殺。
残った無惨は、人の命の儚さを知ります。
病弱じゃない身体、愛を注いでくれた家族。
幸せじゃない訳がなかった。
それを自分が壊しまくっていた事、何とも思っていなかった事、こんなに苦しいんだ寂しいんだと渦巻く感情の事。
無惨は恥ずかしがり屋な一面もあるので、感謝の気持ちを家族に伝える事が出来ずに会えなくなってしまった。
ヒーローに対しての怒りが、前世の自分が向けられていた感情だと、ここでやっと気付きます。
ここの時代での暮らしがとても幸せだった分、無惨は気を病んでいきました。
兄が自殺した家を綺麗に掃除し、家を出て行くことにした無惨は行く宛てがありませんでした。
当時11だった無惨は、孤児院に連れていかれました。(近所の人に)
そこで昔の上弦達と出会います。



鬼の名前はめんどくさいのでそのままで行きます。
…やっぱあだ名が鬼の名前にします。
梅(上弦陸)→ 堕姫
妓夫太郎(上弦の陸)→妓夫太郎
狛治(上弦の参)→猗窩座
継国巌勝(上弦の壱)→黒死牟
童磨はわかんないし童磨でいいか。←
獪岳は普通に剣士でやっています。
玉壺と半天狗はごめん出ません。
鬼達も大体ヒーローに酷いことをされています。



黒死牟は武道家でした。

父も母も厳しく、たった一人の弟も自分より武道に優れていました。
ですが母は稽古が終われば優しく、父も出来た時には褒めてくれる良い父親でした。
弟も兄上兄上!と着いてきてくれるお兄ちゃん大好きっ子でした。
黒死牟もまた、そんなケジメのある家族が大好きでした。

ある日稽古をしようと庭に出ると、テレビで見たことがあるヒーローが血塗れの家族の中心に立ちすくんでいました。

なんで殺したんだ?と問えば 仕事が上手くいかなくて腹が立っていた。とヒーローが悪びれもせずに言い放った。
黒死牟は習った武道でヒーローをボコボコにして、家族を埋葬し、自ら孤児院に向かいました。
2年程経って上弦達と仲良く孤児院で無惨に会います。



童磨には姉という存在がいました。

姉は明るく気さくで感情のない空っぽな童磨にも感情を教え続けた童磨にとっての唯一の存在です。

ですがある日交通事故に姉があってしまいます。運転手は仕事に遅刻しそうで信号無視していた若年ヒーロー。

童磨はその訃報を聞き、姉の弛まぬ努力でちょっとずつ取り戻していた感情を一瞬のうちにして無くしました。
その後は親戚にたらい回しにされた後孤児院に入れられます。
黒死牟と行動を共にするようになります。
そしてそれから1年半位で無惨に再会。



猗窩座は元々捨て子でした。

身体の弱くない恋雪に出会い、惹かれ合い、お互いに今度の夏祭りに行く約束を取り付けました。

それなのに敵に人質にされた恋雪を猗窩座は必死で助けに行こうとしますが、助けに行こうともしないヒーローが恋雪を見殺しにしました。

その後そのヒーローを殴った猗窩座は引き取る相手もいなく孤児院に入れられます。
入った先では黒死牟と童磨と仲良くしていた様です。
そして1年が経過、無惨に再会。


妓夫太郎と堕姫は今世でも兄妹でした。
近隣の人達からセットで思われているくらい仲が良いです。
それくらい2人いつも一緒に居ました。
両親は既に他界しています。
母は海外での仕事先で不慮の事故、父は海外での出張の途中テロに巻き込まれ死亡。
引き取って愛情を注いでくれたのは、母の方のおばあちゃんでした。
2人は極度のおばあちゃんっ子で、いつも3人で並んで料理をします。
おばあちゃんが2人に、家族の絆ほど硬いものは無いんだよ、といつも話してくれていました。
その言葉通りに2人の絆は深く硬く、前世での分も更に拍車がかかったのです。
2人はおばあちゃんからのお遣いを済ませ、家に帰るとおばあちゃんの冷たくなった身体が椅子に丁寧に座らせられていました。
おばあちゃんを取り囲むように淡々と話を進めていくのはヒーロー。
ヒーローは妓夫太郎達が何も見てない知らないのをいい事に、上手く丸め込み孤児院に送り付けました。
その後2人は孤児院に頼んで遺品を整理したいどの理由で家に戻ります。
実は家に気付かないように監視カメラが設置してあり、中身を見ると敵に囚われているおばあちゃんを助けようともしないヒーロー達の姿がありました。
監視カメラはただその場にあった出来事を記録するだけの装置なので嘘はつきません。
嘘を着いたのは、ヒーローでした。
それに2人は深く傷付き、悲しみました。
孤児院に行くと上弦の鬼達が勢揃いしていて、ここに来る前の話を聞いてみるとヒーローに怨みがあるとの思いが自分達と一致している事が分かりました。
半月ほど過ごしたあと、無惨に出会います。


無惨は上弦の鬼達と再開した直後、こう呟きます。
「…これは私達が受けざるを得ない罰なのだろうな」
前世でやらかしてしまったその代償、と無惨は言います。
黒死牟「…これをずっと繰り返していたということか」
鬼達は前世での自分の愚かさを痛感し、深く反省しました。
童磨「…なら罪を償って死ぬより今世では人を助けて罪を償っていこうよ」
という童磨の一言により、上弦達はヒーローにはならずとも人を救おうと決意します。
そんなことから数年後_____
上弦も鬼殺隊に入隊し、柱達と同様にヒーロー免許を取得します。
無惨はヒーローという言葉が出たのですごく嫌がりましたが、御館様が説得し受験。
もう柱達とは既に会っています。
一悶着起こりかけましたが、それぞれの今を知って意気投合しました。(ヒーローへの嫌悪感で)

*.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



長いのに読んで下った方々、ありがとうございます

プリ小説オーディオドラマ