第22話

11,999
2021/01/12 15:29

『……ジュン、気配消せる?』
ジュン「勿論ダ!」
『まあ気付かれてるんだけどね~』
そう言って私は目の前の扉を開けた。
その瞬間、バリバリバリッ!!と建物全体を氷が覆い尽くした。
轟「瞬殺でわりィな」
『…甘い』
私は刀で氷を切断し、スタッと氷の上に着地をする。
轟「…なっ!」
『優秀な“個性”に対して大雑把な使い方ですね…?
もっと考えて使えばいいのに…』


ジュン「クァッ」
轟「あ"?」
私はとんっと軽く飛んだ。
『集中、したらどうです?』
轟「~~~~~~ッ??!!!」
私は、ゆっくりと核に触れた。






╴轟 目線 ╴
何分経っても、あなたの名字が来ねえ。
タイムリミットがあるってのに……
何してんだ?
手っ取り早く、氷結させちまいたいんだが…
障子が連絡を寄越してこない。
葉隠ん時は直ぐに報告してきたのに。
それから何も起きずに数分経過した。
突然、気配も無くガチャリと扉が開いてあなたの名字が入ってきた。
轟「…(鷹?)」
あなたの名字は肩に大きな鷹を乗せて、悠々と部屋に入る。
轟「…(これでお終いだ)」
俺は、2回戦目の様に大きな氷結を出した。
氷であなたの名字の姿が見えないが、氷漬けにされているだろう。
轟「瞬殺でわりィな」
『…甘い』
あなたの名字のボソリと呟いた声が聞こえた後、氷がスパッと切断された。
轟「…なっ!」
服に着いた氷をほろいながら、あなたの名字は口を開いて言った。
『優秀な“個性”に対して大雑把な使い方ですね…?
もっと考えて使えばいいのに…』
あなたの名字は肩にいる鷹…ことジュンを優雅に撫でている。
轟「あ"?」
今日1番で、低い声が出た。
轟「(大雑把だと…?)」
あなたの名字がとんっと軽くその場でジャンプした瞬間、
俺の瞬きよりも早く、そいつは俺の後ろの核の横にいた。
『集中、したらどうです?』
轟「~~~~~~ッ??!!!」
思わずビクリと肩を跳ねらせてしまった。
いつの間に?
いつ、俺の後ろに回った?
いつ、足を前に出した?
ボコボコと疑問が湧いて出てくる。

オールマイトが訓練終了の合図を出した。

╴轟 目線 終 ╴


オールマイト「こ、講評の時間だ!今回は、ちょっとトラブルがあったようだな…」
『…』
八百万「あなたの名字さん…モニターで見たのですが、鷹の首を絞めていらしたわよね?」
『ええ、まあ』
飯田「…鷹は天然記念物だ!首を絞めていいものでは無いと思うが!」
『知ってますとも。だってここに本物がいますので』
肩にいるジュンをふわりと撫でる。
切島「あ!首を絞められてた鷹…!」
『違います。……諸事情でお話出来ませんが、あの鷹は幻想だと思っていてください。貴方達には関係ありません。私の問題です。』
ジュン「あなた!ちょっとキツく言い過ぎダ!!」
ジュンがグサリと私の頭を刺す。
『…』
ジュン「モウ!皆さんもごめんなさいネ!
あなたは本当は良い奴なんです!」
『ジュンやめて』
ジュン「ムン!」
『…講評の続きをどうぞ』
オールマイト「え…あ、ヴヴン!障子少年は…いつの間にか眠らされていたな!」
『ジュンに頼みました。』
障子「不覚…」
ジュン「ゴメンね!!」
オールマイト「轟少年は……そうだな、言われた本人なら分かるんじゃないか?」
轟「……」
オールマイト「…まあ言わずもがなあなたの名字少女は凄いね!目で追えない瞬発力、気配の消し方、素早い状況判断…素晴らしいよ!」
『ありがとうございます』
オールマイト「(なぁ…やっぱり)」
耳郎「それにしても…凄いな」
麗日「うん…」
蛙吹「あなたの名字ちゃん、どうやって轟ちゃんの後に回ったの?全然見えなかったわ」
切島「わかる!気付いたら後ろにいたもんな」
『普通にちょっと飛んで移動しただけです。』
瀬呂「飛んだだけであんな早くなっかよ…」
『鍛えてますのでこれくらいはなんともないです』
麗日「鍛えてるんやぁ…」


そんなこんなで、対人戦闘訓練は幕を閉じた。



~帰り道~


『……』
私はジュンとお館様の元へ急いでいた。
ジュン「あなた、さっきから考え込みすぎダ!」
『…うん、ごめん…でも、何かひっかかって』
のどに小骨が突っかかったようなひっかかりを感じて、思わず足を止めた。
ジュン「…あなた?」
『………何だろう』
ジュン「ウン?」
暑くもないのに、ジトリと汗が垂れた。
『凄く嫌な予感がする……!』
ジュン「…!あなた!すぐにお館様の所に行くゾ!」

ジュン「(出会った時からあなたはそうだった。

あなたのこの、嫌な予感は、
当たる上に、あなたにとって1番嫌な事が起きるってこと__



これから、何か、起きるかもしれない。
あなたの身にも、周りの身にも………)」



私とジュンは、お館様の所に急いで向かった。

『お館様…ッ!!』

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