第34話

鳴柱、家族増えたってよ。
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2022/03/21 13:31


産屋敷「これで雄英での鬼…敵の実害が出てしまった事だけれど…
雄英とは混乱を避けるために、実害が出てから説明をするという約束だったね。」
無惨「こんなに早く実害が出ることは少し予想外だったがな」
宇髄「いずれ来るとは思ってたけどな…」


雄英高校への鬼の説明。
正直、トントン拍子で説明が上手くいくとはここにいる誰もが思ってないだろう。
鬼だって元は人だったのだ、その鬼を斬ることは人を斬る事に繋がると考えてもおかしくはない…のだけど、やはり鬼と人間では訳が違う。


私達にはその違いが解っていても、普通の人達には人殺しと捉えられることもあるだろう。


『そうですね…1年A組には私が説明します。』
伊黒「一人で大丈夫なのか?」
『大丈夫…とは言いきれなくもなくもないような…』
錆兎「珍しいな?あなたがそんなに弱気になるなんて」
無惨「コイツの言う不安はそっちじゃないだろう」
『ちょっと???』
宇髄「ああ…俺らのこと悪く言われてブッチーンするのが目に浮かぶな」
『ひ、否定できない…』
産屋敷「まあ…その時はそれでもいいんじゃないかな?
私も可愛い子供たちのことを悪く言われるのは良い気分じゃないからね」
『お、お館様…!!(好き)』


冨岡「(お館様はそれでいいのか…)」


私がお館様にときめいてると、隣の伊黒と無一郎に笑われた。
二人とも私を馬鹿にして笑ってんの私気づいてるんだからね。


しのぶ「私も行きたい所ですが…
ここは多分、不死川さんなどの見た目がンン゛……威厳のある人が行った方がいいのではないでしょうか」
『ブブッ』
蜜璃「(しのぶちゃん…今見た目が怖いって言おうとしたのね…そんなとこも可愛い♡)」
不死川「オイ胡蝶…見た目が怖いって言おうとしてんのバレバレなんだよォ」
しのぶ「いえ?そんなこと言ってませんよ^^」
宇髄「それに関しては俺も胡蝶に派手に賛成だな。
やっぱ “怖い人”とか“逆らったらいけない” っつーレッテル貼られた方が俺たちは楽だろ」
『宇髄さんのくせに一理あるな』
煉獄「うむ!俺も良い案だと思う!
威圧とはまではいかないが牽制はしといた方がいい!」


『…』(めちゃくちゃ威圧するつもりだった人)
錆兎「俺も賛成だ」
悲鳴嶼「南無…では柱総出で行くことになるな…」
産屋敷「総出はちょっと圧をかけすぎじゃないかな?
数名に絞って行った方がいいと思うのだけれど」
時透「僕も…お館様の言う通りだと思う……」
『じゃあ、悲鳴嶼さん、宇髄さん、煉獄さん、不死川さん…とかは?』
伊黒「いいんじゃないか?
不死川がキレ散らかすことが不安だが」
錆兎「生徒を殺しかねないな」
不死川「俺の事なんだと思ってんだお前らァ!」
悲鳴嶼「南無阿弥陀仏…その日私は行けそうにない…学園でのどうしても外せない出張がある…」
『えーー!!悲鳴嶼さんに一番来て欲しかったのに…』
悲鳴嶼「嗚呼…すまない…あなた」


悲鳴嶼さんがゆらりと私の前まで移動して来たと思っていると、私の何倍もあろう大きな手が私の頭をゆっくり撫でる。


悲鳴嶼「南無…」
『私死んでませんよ』
錆兎「それなら、俺が行こう。」


錆兎が手を挙げると、その場の柱が一気に首を横に振った。分かる、私も錆兎はダメだと思う。


錆兎「何故だ」
『錆兎はダメだよ』
しのぶ「錆兎さんなら下手したら本当に殺しかねません」
錆兎「そんなことしないさ…多分な」
冨岡「(行くなら俺と)同行させてくれ」
蜜璃「(水柱の二人仲良くって素敵!可愛いわ!)」
しのぶ「冨岡さん話聞いてました?」
無惨「行くならこれじゃ埒が明かない。柱だけでなく、鬼も連れて行け」
産屋敷「ああ!確かに鬼側を連れていくのは良い案じゃないかな。」
『ではこれならどうでしょう・・・』


あまね「輝哉さま、少しお話が…」


産屋敷「ああ今行くよ。すまないね。私は少し席を外すから、話し合いが終わったら解散していいよ。」


「御意」




皆が返事をしたのを聞き届けてから、襖の奥へと行ってしまった。いや退室の時すらカッコイイって何。罪だわ。



























話し合いの結果、行くのは鬼と柱一人ずつで組んで二人一組、計三組行く事に決まった。
私と無惨、宇髄さんと童磨、実弥に巌勝 黒死牟
煉獄さんが行かない理由はただ単に実弥の方(見た目と顔)が怖そうだからだそうで。

それで思わず実弥の横で笑ったら殴られた。殴るなんて酷い!!と泣き真似をしたら更に殴られた。助けて小芭内!!DVだよこれが!!!
あと何で柱だけじゃないのかって言うと、まあ、一人より二人居た方が怖そうっていうのと、柱だけでなく鬼側に居てもらった方が説得力が増すと思ったから。


いや私は別にぜんっぜん一人でも大丈夫だしちょっと心細いとかなんて一ミリも思ってないし???



無惨「お前と行くことになるとは」
『じゃあ実弥と行く?』
無惨「お前で充分だ」
不死川「テメェが言うセリフじゃねぇんだよォ…」
しのぶ「それにしても…あなたさん、この采配で良かったんです?」
『ん~…』
錆兎「何かあるのか?」
煉獄「色々因縁があった様だぞ!」
錆兎「煉獄もよく知らないんだな」
時透「…?そういえば鬼側に壺のキモイ鬼居ないよね」


時透くんがふと疑問を口にすると、 ドアの方からケラケラと笑う声が聞こえた。


童磨「玉壺と半天狗は俺達も会えてないんだよねぇ〜。でも、あの二人だしどっかで生きてそうじゃない?」
無惨「童磨…いつから聞いていた」
童磨「ん~あなた殿が頭を下げてるところから、かな?」
『結構居るじゃん』
しのぶ「ニヤニヤしてコチラを見ないでくれます?気持ちが悪いので」
童磨「え~んちょっと傷ついたかも」
宇髄「コイツ派手に白々しいな」
しのぶ「埋めましょう」
蜜璃「まっ、まあまあしのぶちゃん!怒ってる姿も可愛くて素敵だけど一旦落ち着かないかしら!?」
童磨「うんうん、それでこそしのぶちゃんだよ」
『マジ一旦お前が黙って??』


こいつのこの調子にはいつも振り回されてしまう。何なのこの人。なんか前世より増してチャラくなってるよね?
何やらグダグダ雑談(?)をしていると、煉獄さんの鎹鴉が飛んで来た。


「ニンム!ニンム!担当地区見回り!」
煉獄「うむ今行く!皆、すまないが先に失礼するぞ!」
『気をつけてー!行ってらっしゃい!』
煉獄「む!行ってくる!」
伊黒「はぁ…ペアも決まった事だし用があるので俺も失礼させてもらうぞ。」


話し合いは既に終わっているので早々に各自解散すると、残ったのは私と累、無惨、童磨の四人だった。


お館様の部屋から出て、廊下を四人で歩く。何だこのメンツ。ただただ歩いてるだけの空間に、累が私の羽織の袖をくいくいと引っ張る。


累「…質問、いい?ですか、」
『いーよ!どうしたの?』
累「鬼の人達って、無惨様と童磨様以外で鬼殺隊に居るのってどの位なの?」
『んー、さっき話に出た二人以外の上弦はみんないるよ。あ、でも妓夫太郎と梅の他に獪岳もいるかな。』
童磨「まあほとんどの鬼は今はもう普通に暮らしてたり、鬼殺隊で隠やってたりしてるさ。
でも今世の俺らは鬼を側。」
累「…僕も狩る側になるの?」
『ううん、累は私の家で一緒に暮らしてもらうよ!私の家の家事をやること、それが累のお仕事!』
累「カジ…」


累は立ち止まって、ぶつぶつ慣れない単語を反芻するように何度も呟いている。


私はしゃがんで累と目線を合わせて手を前に突き出した。


『これから!あなたの家族になるあなたの名字あなたです!よろしくね!』
累「!…ぼくも、あなたさんと家族…」
『そう!だからこれからよろしくの握手しよう』
累「よろしく…」


白い小さい手が触れて、私はその瞬間に握りしめる。その手はひんやりしててすべすべ美肌でした。

鳴柱、家族増えたってよ。

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