第24話

10,220
2021/01/12 15:32

「「「ヴィラン?!!!!」」」
『(くそ、敵に鬼まで混ざってる…ん?あれは…)』
最後に黒いモヤから出て来た顔に手を付けた男の後ろに、見た事のある鬼。
今世の十二鬼月は鬼殺隊の味方として協力し合っているが、ただ一人下弦の鬼で今世会わなかった者がいる。

─── 下弦の伍、累だ。

『…皆、鬼には接触しないように!!もし接触したら私と同じ格好をしてる奴に言って!!』
相澤「あなたの名字!!そっちは頼むぞ!!」
『先生も気を付けてください。手が開いたらそちらに行きます』
 『…よく聞いて。鬼に攻撃しても効かない。私しか倒せない。
…だから絶対、絶対に余計なことをするな!!』
「えっ…ちょっ…!??」
そう強く念押しするように言いつけて、私は広場に飛び降りた。

『下弦の伍……累!!!』
累「…キミ、どこかで会った?」
周りにいる邪魔な敵を気絶させて、どこかに蹴飛ばす。
これで少しは足場が出来ただろう。
手の付いた男「なんだぁ…?累に立ち向かってきやがる…」
バス降りる時、ジュンに一応誰か呼んできてもらったけど…
私は累に攻撃を仕掛ける素振りをして、広場から少し離れた場所へ移動した。
前世と同じくらいの力量なら余裕で倒せるが…
今世ではどれくらいの力がついているのか分からない。
『(ここには人間…もとい敵もいる。殺さないように気をつけないと…)』
累「ねえ…キミもしかしてあなた?」
『え』
ふと累から呼ばれた私の名前に思わず反応する。
『な、なんで…私の事覚えているの?』
累「覚えてないよ。どこの誰かも知らない。
…でも、声でわかった。あと、顔と名前。」
『そう…累。あなたここに来てから人を食べた?』
累「人間?人間………ここに来てからはずっと食べてない。にずっと貰ってた…」
『あの方って、誰?』
累「あの方…?あの方の名前は知らない。でも、家族だ。」
『…(累なのに累じゃないみたい)』
累は家族を恐怖で縛り付けていたはずだった気がする。
累にしてはおかしい。
父さんとも呼ばず、あの方だなんて…
まるで立場が逆転しているみたい。
『(もしかしたら、今世に来て家族意識は薄れたのか?)』
『家族なのにあの方なの?お父さんじゃなくて?』
累「……わからない」
『わからない?』
累「……ボクが言ったんじゃない。あの方が言ってくれたんだ」
累から家族にしたわけじゃないんだ…
『あの方から、何を貰ったの?』
累「…」
『何を貰ったの』
累「…人間」
『!!』
人間を、貰ってる?
『そう…人を食べたのね。』
累「うん」
『あの方は人を殺して累にくれたの?』
累「うん」
…それだと殺人を犯して、その死体を累に与えた…?
『あの方の容姿、わかる?』

累「見たことない。」
『そう…ねえ、累』
累「なに?」
『…人を食べた分、罪を償うつもりはある?』
累「…食べた分、償う……?」
『そう。償うつもりがあるなら殺さない。つもりがないなら………』
私はグンッと累との距離を縮め、日輪刀を首に当てた。
累「!……つ、償う。それに、あなたのこと思い出したい」
『…そう。それならわかったわ。そこの茂みに隠れてて。迎えに来るから!』
累は小さく首を縦に振って、茂みに身を隠した。
累なら自分の身は自分で守れるだろう。
………いや、累なら隠れなくても上に居れば良かったか。
刀を鞘にしまった時、どこからか叫び声が聞こえた。


「うわああああああ!!!!!!」
『!!』
鬼の気配だ。累とは違う、十二鬼月じゃない。
今の叫び声は…大方生徒の方だ。
私は刀を握りしめて声の方へ走って行った。

































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お久しぶりです…遅くなってしまいすいません!
スランプ抜け出します😤😤😤


~ここでちょっと余談~


累くん、前世の記憶は途切れ途切れでした。
覚えているのは、自分が鬼で十二鬼月の下弦の伍であること。
無惨様のこと、家族を欲しがっていたこと。
そして、あなたちゃんの顔と名前、声です。
ものごころついた時には既に“あの方”に拾われていました。
その時、累はまだ個性が発現していません。
個性が発現したのは5歳ごろ。
手から蜘蛛の糸のような物が自分の意思で出せるようになりました。
しかもその糸の殺傷能力が高いの高いの。
そこで前世、この蜘蛛の糸をどのように使うかを思い出します。
“あの方”は累が何かある、ということを見抜いたのかもしれません。
個性が発現しだした翌年くらいに、累に人の死体を与えます。
累が人を与えられていると認識するのはだいぶ後です。
累が言っていた“あの方”の詳細は、本編にて紐解かれていきます。


前の話では十二鬼月の上弦しかいない感じでしたが…
ちゃっかり下弦もいました。
剣士ではないですが、隠や藤の家にて鬼殺隊に貢献しています。
魘夢は藤の家にいます。
これから先下弦は累以外出てきませんが、一応いるので忘れないであげてください。笑




さて、もうひとつ話をします。
何故あなたちゃんはすぐに累の頚を斬らなかったのか?
あなたちゃんは周りをよく見ています。
ということは、観察眼も鋭い、ということです。
累に会った時、累から殺意を感じられなかったことも大きい理由です。
それに、累から出る黒い煙が大きく揺れていたことも理由です。(2話参照)
なのですぐに頚を斬らず、話をしたという結果になりました。



長くなってしまいましたね。
これにてこの話は終わりです。

長らくお待たせしてしまいすみませんでした!!!!!

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