第8話

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2019/04/09 14:16
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文化祭は学校の一大行事というだけあってすごく賑やかで、この日ばかりは校則も少々ゆるくなったりなんかもしている。


そんな楽しいお祭りの中、私はクラスの出し物にも参加しないでひたすら歩き回っている。








you
you
...いた!









今日しかないと思った。


人気の少ない静かな木陰に寝転がっているその人を私は探していた。









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you
you
ユンギくん






ピクっと眉が動いたけど目は開けない。
寝たフリでもしてるのかな?





you
you
...よかったら一緒に食べない?




紙コップに入った唐揚げはユンギくんと仲良くなるためのアイテム。

こんなものにはつられそうにないけど...






you
you
隣、いい?






返事も待たずに座ると心地よくて、私も隣に並んで寝転がってみた。



目を閉じていればすぐにでも寝てしまいそう。









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ユンギ
ユンギ
お前まじでしつこいな







目を開けるとユンギくんが体を起こして座っていて
呆れた顔でため息をつく。





you
you
私、ユンギくんと話してみたくて
ユンギ
ユンギ
鬱陶しい





せっかく見つけたのにユンギくんがまたどこかへ行こうとする。




you
you
待ってよ
ユンギ
ユンギ
ついてくんな
you
you
好きだから!








歩いて遠ざかって行きそうだった背中がピタリと止まる。







you
you
...私、ユンギくんのことが好きなんだと思う
you
you
だからいかないで
ユンギ
ユンギ
...






自分でも驚いた。
ユンギくんが好きとか、そんなつもりじゃなかったのに。

みんながいいと言うものは何だって良くみえてしまうのかも。


でもよく考えればそうだったのかもしれない。
そうじゃないと必死に引き止めたりしない。






だけどユンギくんはやっぱりスタスタとどこかへ行ってしまった。



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