彼女が泣きそうな顔で走り去ると、踵きびすを返してまたどこかへ行ってしまった。
...なんでそんなに人と関わろうとしないの?
私がそれを好まないのとはちょっと違って
ユンギくんは断固拒否している。
そんな彼のことがもっと知りたくなってしまうのは
きっとただの好奇心だ。
片想いでここまで積極的になるなんて今までの私にはなかったことだから...
だからもう姿も見えなくなった背中を追いかけてしまうんだ。
ユンギくんのことが知りたい。
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走って追うと、ちょうど正門を出て行くところだった。
聞こえたはずだけど、立ち止まらずにもっと早足になる。
服に触れた瞬間、立ち止まるからぶつかりそうになる。
呆れた顔をしてまた歩き始める。
ユンギくんの前に出て引き止める。
面倒臭そうに私を押し退けて歩く。
ここまで来て引き下がりたくはない。
でも、無視して歩き続ける背中をどうすれば引き留められるのか分からなくて見送るしかなかった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!