第26話

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2019/05/12 20:54








前と同じように薄暗い廊下を進むと
3枚の扉を開ける度に匂いがきつくなる。


前よりも少し匂いが濃くなったような気がする。








ユンギの母
ユンギ、お友達よ
ユンギの母
じゃあ、私は上にいるからね
you
you
はい






すぐにお母さんは去り、何も見えない柵の向こうを凝視する。





you
you
ユンギくんまた封筒持ってきたんだけど





呼びかけても何の反応もない。




you
you
いるんでしょ?





人骨が無造作に転がる薄暗い地下室。

お化けでも出てきそうで怖くて、早く返事してほしかった。



柵の端にあるドアに近づいて、外側から掛けられる古い構造の鍵を外す。





you
you
入っていい?




...



シーンと静まり返って何のリアクションもない。

少し怖いけど、それ以上にユンギくんが心配でドアを開けた。





突然暗闇から伸びてきた手が
私の肩を掴んで激しく壁に押し付ける。






you
you
ユ、ユンギくん?






目の前にいて私を壁に押し付けているのはユンギくんだけど

その目は赤く爛々としていて、思わず縮こまってしまった。


まるで殺気だったようにも見えるけどなんだか苦しそうにも見える。







you
you
...っ、







近かったユンギくんがさらに近づいて
私の首筋に顔を埋めて深く息を吸い込む。




ゴクリと喉が鳴る音が聞こえて


彼が今、私を食べ物として認識していることに気づいた。








.






ユンギ
ユンギ
なんでここに来た?
you
you
ユンギくんが心配で
ユンギ
ユンギ
俺今なにも食ってないんだけど?







顔をあげたユンギくんと至近距離で目が合う。








ユンギ
ユンギ
心配なら、俺の飯にでもなれよ
ユンギ
ユンギ
そのつもりがねぇなら2度とくんな

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