第15話

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2019/04/21 10:00
you
you
ユンギくん





放課後になり、みんなが帰っていく中
リュックを背負って帰ろうとするユンギくんを呼び止めたのは、






you
you
聞きたいことがあるの
ユンギ
ユンギ
...





さっき助けてあげたからか、初めて素直に教室に残る。







.








you
you
リュックの中身、教えて
ユンギ
ユンギ
それはできない






人がいなくなるのを待って尋ねると
無表情なまま答える。






you
you
...じゃあ、これなに?



もう乾いてしまったけど赤く染まったシャツの袖を差し出す。


それを見て少しだけ息を吸い込んだのは
見られたらまずいものだから?



するとリュックを置いて、中身から袋に入った何かを取り出した。







you
you
...これは...?
ユンギ
ユンギ
俺の非常食
you
you
...え?






鈍い音を立てて机の上に置かれたそれは血まみれで、血色のない肌のような色をしたものが入っている。





you
you
食べ物、なの?
ユンギ
ユンギ
俺にとってはな





淡々とした口調で袋の結び目を解いて
その中身をひとつ取り出して口に咥える。









.









.









嫌な音をたてながら引き裂くそれは
明らかに人の体の一部で



目の前でそれをむしゃむしゃと食べている。




言葉も出ない私を見る瞳は赤く光って、
蛇に睨まれた蛙のように体が硬直する。









.








ユンギ
ユンギ
危うくバレるとこだったし、持ち歩くのは良くねぇな。
ユンギ
ユンギ
助けられたから見逃してやるけどこれ以上踏み込んできたら…どうなるか分かるよな?








私に見せるだけ見せてリュックに仕舞うと
そのまま背負って教室を後にする。









.









...


もしかしてユンギくんは誰かを殺してしまったのかとか、その凶器を隠してるとか

そんなことまで勝手に妄想して怯えてたけど





現実は、そんな私の妄想の斜め上をいっていた。







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