最近、悪夢を見るんだ。
私が歯をむき出しにして、知らない人の首を噛んで。
そしてその度に、心の中で誰かがこういうんだ。
「今のあなたはホントのあなたじゃない。
あなたの居るべきはずのところに帰ろう」って。
その度に、一瞬だけ誰かに体が乗っ取られたかのように、細胞の一つ一つまで感じられる。
でも、ホントの私が、
って言う。
でもある日。
おい、ちうか
お前はほんとに言うことを聞かないな。
無理やり元いた場所に連れて帰ってやるよ
その時は心臓を引っ掴まれたような感覚に襲われた。
その時。
私の中で何かが弾けて、その反動で起き上がり、ある場所に向かった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!