目を覚ますと、白い天井が目に入った。煌々と蛍光灯が光る。どこだろ、ここ。なにか大事な話をしてたみたいなのに。なんでこんなとこに。起き上がろうとすると、焦りを含んだ声で名前を呼ばれた。
『○○さん!!よかった、目ぇ覚めた…』
スニョンさんが私を覗き込む。わたし、なんでここに居るんだろう?
「スニョンさん、ここは?」
『病院。昨日、倒れたんだよ。いきなりでほんとにびっくりした。具合はどう?』
「あ…もう平気です。ありがとうございます。ご迷惑おかけしました。考えて飲んでたんですけど…飲み過ぎましたかね。」
『お酒だけじゃないって。貧血も起こってたみたい。だから無理はしないでって言ったのに。』
「そう言えば、頭、痛かったような、」
『ほらー!!言わんこっちゃない!!』
「だってあの日は、気づかないくらいドキドキしてたから!」
口を抑えても、もう遅い。面を食らった彼の顔がそれを物語る。不思議な空気が流れ、彼が口を開いた。
『昨日、言ったこと覚えてる?倒れる直前、君にだいじーな話をしたんだけど』
「…すみません、覚えてないです。」
『じゃあ、もっかい言うね。』
お互いの目に紐が通ったように見つめ合う。この感じは覚えてる、気がした。
『○○さん、これから言うことは嘘じゃないし、からかってもないからそのつもりで聞いて?初めて君に出会った時、王女様が来たと思ったんだ…』
「あっ、それは聞いた気がします。」
『…そこは黙って聞くとこでしょ。やめた、単刀直入に言う。』
私の手を握った彼の手は少し震えていた。
『結婚してください、僕と。死ぬまで君のそばで、君を幸せにさせてくれませんか。』
悩む必要なんてない
「はい。こちらこそあなたを幸せにさせてください」
頼もしいねと笑って、キスをする。
『…左手、見てみて?』
バタバタで気づかなかった、私の薬指にはシルバーの指輪が光っている。
『渡そうと思って、ずっと前に買ってあったんだけど、ぴったりだね。』
「はい、ありがとうございます。大事にします。」
『固いなー。敬語はやめて、夫婦なんだから』
「…はい、ありがとう。スニョンさん」
『ん。好きだよ、○○』
婚約のことは頼み込んで破棄してもらったそうだ。そこに私の名前は出てなかった。優しいよな、ほんとに。マリさんには2人でお礼を言いに行った。呆れ半分、祝福半分の言葉をくれた。
結婚なんでまだ先だと思ってたのに、人生何があるか分からないな。
だけど、彼の存在は私にとって一番
忘れられない贈り物
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!