第33話

この決断を受け入れろ
1,250
2022/06/11 14:57

阿部・父「あなたさん」









みんなに囲まれた。








私は急いで、起き上がった。








岩本「あなたさん、ゆっくりじゃないと」









『やめて。私は亮平のところに』









愛美「先輩、阿部さんは」









『あーちゃん。亮平に何があったの』










あーちゃんは黙ってしまった。








『ねぇなんで誰も何も言わないの。亮平は』










阿部・弟「兄貴は……」









後藤「あなたさん」









後藤先生が入ってきた。










『後藤さん、亮平は』










後藤「ちょっと来てください」









私は車椅子に乗せられて、ある部屋に連れられた










そこには、チューブをたくさんつけて眠っている亮平がいた。









『後藤さん、これは』









後藤「亮平さんが衝突事故にあいました。」









『目覚めるんですよね。大丈夫なんですよね』










後藤「……正直言って、目が覚めることは厳しいと考えられます。今、心臓が機能してるだけで奇跡。目が覚ますまでは難しいのが」










『亮平はまだ生きてるんですよね。だったら』









後藤「ここで、阿部さんが言ってたことを言います」









『なんですか』








後藤「阿部さんは、自分に万が一の事が起きたらあなたさんのドナーになる。そう言ってました」









『えっ』








後藤「御家族の許可が必要となりますが……」










阿部・父「お願いします」









『待ってください。亮平はまだ生きてる』










阿部・父「あなたさん。ありがとう。でも、きっと亮平はこれを望む。」









『ダメです。亮平は』









愛美「先輩」








岩本「目を覚ませ。阿部は目覚めるなんてわかんない。その状況の時、阿部は自分自身でこの結果を選ぶ。だからあなたさん、この決断を認めてくれ」









『……なんで』










私は車椅子から、降りて、亮平の手を握った









まだ温度もある。脈もある。生きてるのに……









なんで。









私が、入院してなければ。私が亮平と付き合っていなければ









亮平はこんな事にならなかったのに。

プリ小説オーディオドラマ