阿部・父「あなたさん」
みんなに囲まれた。
私は急いで、起き上がった。
岩本「あなたさん、ゆっくりじゃないと」
『やめて。私は亮平のところに』
愛美「先輩、阿部さんは」
『あーちゃん。亮平に何があったの』
あーちゃんは黙ってしまった。
『ねぇなんで誰も何も言わないの。亮平は』
阿部・弟「兄貴は……」
後藤「あなたさん」
後藤先生が入ってきた。
『後藤さん、亮平は』
後藤「ちょっと来てください」
私は車椅子に乗せられて、ある部屋に連れられた
そこには、チューブをたくさんつけて眠っている亮平がいた。
『後藤さん、これは』
後藤「亮平さんが衝突事故にあいました。」
『目覚めるんですよね。大丈夫なんですよね』
後藤「……正直言って、目が覚めることは厳しいと考えられます。今、心臓が機能してるだけで奇跡。目が覚ますまでは難しいのが」
『亮平はまだ生きてるんですよね。だったら』
後藤「ここで、阿部さんが言ってたことを言います」
『なんですか』
後藤「阿部さんは、自分に万が一の事が起きたらあなたさんのドナーになる。そう言ってました」
『えっ』
後藤「御家族の許可が必要となりますが……」
阿部・父「お願いします」
『待ってください。亮平はまだ生きてる』
阿部・父「あなたさん。ありがとう。でも、きっと亮平はこれを望む。」
『ダメです。亮平は』
愛美「先輩」
岩本「目を覚ませ。阿部は目覚めるなんてわかんない。その状況の時、阿部は自分自身でこの結果を選ぶ。だからあなたさん、この決断を認めてくれ」
『……なんで』
私は車椅子から、降りて、亮平の手を握った
まだ温度もある。脈もある。生きてるのに……
なんで。
私が、入院してなければ。私が亮平と付き合っていなければ
亮平はこんな事にならなかったのに。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。