第799話

第747話 バカな相棒(仮)だよね
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2023/01/27 14:07
マサル「俺さぁ、アイツの一番の親友なんだよね」
マサルは倒れ込んでいる男たちを冷たい視線で見下ろしていた
口許だけは弧を描いて、瞳はこれでもかと細められている
陽斗「俺ね、アイツに救われとんの...アイツのお陰やの」
絶対に言わんけど、と喉を鳴らして笑っている陽斗は地面を蹴った
彰「俺はね、気にってんの...あれでも、アイツのことを、」
自分の一人称すら俺に変わり、腕を組んでいる彰は笑いもしていない
マサル「アイツはリーダーなんだよ俺らの」
陽斗「んで、俺らはその...しもべかな?部下かな?あーちゃうちゃう」
彰「そう、非公認の右腕兼相棒なんだよ...だからさぁ」
闇討ちで不意打ちは当然の報いだよ?今回はこれで、勘弁しといてやろうか...



陽斗「帰りの新幹線遅れるで、はよ帰ろ」
彰「全く、東京から愛知は骨が折れるな...」
マサル「そー言っときながら行くと決めるの早かったなぁ彰」
彰「.....マサルはよく抑えたね、あれで」
マサル「うーん、まだまだ足りないけど?」
ゴキゴキ手を鳴らしながら笑ってるマサルは不気味だ
陽斗「それは全員そうやろ?でも、これ以上はりょうやが良い顔せんやろ」
むしろ引かれそう、やり過ぎ...俺でも抑えたよってね、眉下げながら苦笑いしてそう
マサル「......アイツホントバカだな」
陽斗「バカやね」
彰「バカだな」
バカだから俺らがいないとダメだな
陽斗「あー、母さんたち寝てると良いけど」
彰「抜け出したも同然だからな、バレてなきゃ良いよ」
マサル「いや起きてたら俺死ぬかもしれない」
年も年だから一言言えば朝帰りしても良いとは云われても、理由が理由だから言えなくて...ならささっと抜け出してささっと戻って来ようということにした
だって...東京から愛知に行くなんて知ったら根掘り葉掘り聞かれるだろうし
てか今乗ろうとしてる新幹線逃したら無断外泊決定、走らないと間に合わない!!!
彰「まずいもう新幹線出る!!走れ走れ!」
マサル「げぇ、!?そりゃヤバい!!無断外泊なんかしたら殺されるじゃ済まない!!」
じゃあ何されるんだろ...拷問?
陽斗「あーもー!こんだけ俺ら苦労しとるんやからりょうやには今度絶対焼き肉奢ってもらうからな!!!」
「「賛成!」」
顔見に行こうかなとは思ったけど、それはアイツが俺らに会いに来てくれたときに見るとするか
いつもと変わらない、間抜けなリーダーの顔を...




マサル『ちょっと服に血がついてるけど、これは誤魔化せるだろ....バレてませんように!』
祈りながらこっそり家に侵入し、自分の部屋に入って布団に潜れれば任務完了なんだが
「「マーサール.....」」
マサル「っっっ!!??」
ギシッと体が強張る、背後に漂うただならぬ圧と気配にマサルは恐る恐る振り返った
マサル「ひっ、」
やはりと言うべきか、両親が揃ってマサルに対して叱咤する寸前だ
あ、まさかの両親揃っての説教...終わった
中々ないパターンを引き当て、マサルの顔から血の気が引き、乾いた笑みしか口から出なかった



陽斗『ほんのちょっと手が痛い、けどまぁすぐ治るやろ...ちょっとしか殴っとらんし←(ダメです)それよりも、父さんたち寝てますように....』
目を閉じて、心から祈りながら音を立てないようにドアを開ける
キヨ「陽斗」
陽斗「っ、!?!?と、父さんーっ!」
玄関には仁王立ちした父親が待ってましたとばかりに目が笑っていない笑顔で陽斗を見ている
キヨ「こーんな夜遅くに何してたのかな~~?ん~~?」
陽斗『うわ、こりゃ厄介だわ....』
普段怒ることがないからこそ、俺らが悪いことをしたときはマジで...本気で怒るからスゴい怖い.....
陽斗『何でこういうときは寝てないんやよ.....』
説教長いやろうな、と肩を落とし...諦めることにした



彰『思った以上に時間かかったな帰るの、バレてたら終わる...寝てますように』
きっとマサルや陽斗もそんなこと思いながら玄関を潜るのではないかと思うと笑ってしまうが、あー.....その一歩が中々踏み出せない
意を決して家に入れば、部屋の電気は全部消えてるし、どうやら寝ている...みたい
ホッと胸を撫で下ろし、これなら平気かと油断したのが運の尽き
パチッと部屋に電気がいきなりついて、何だと目を見開いていれば視界に入るのは父と母
彰「おっふ.....」
伊沢「さて彰くん、私たちに何も伝えずこんな時間まで何処に行っていたか正直に言うか」
山本「言い訳並べて僕らからのお叱りが長引くの...どちらが良いかな?」
前者をお勧めするよ、あぁでもお叱りをしないというわけじゃないけどね
彰「.......敢えて後者を取りたいところなんですが」
伊沢「あー...じゃあお説教が前者よりも長引くね」
山本「長引きますねー、言っとくけど僕怒ってるからね彰」
彰『........はぁ、』
ほら、こんなことになるのなんて目に見えてたよ
滅多に怒らない両親に怒られることなんて決まってたのに、どうしてだろうね
柄にもなく、アイツのために行動してたよ
彰「仕方ないから、メンツは守っといてあげるよ」
まぁ結局後者を選んだところで、根掘り葉掘り聞かれるのかもしれないが.....




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