第796話

第744話 非日常は突然訪れるもの
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2023/01/24 14:22
いず「バカ」
りょうや「いず」
いず「バカ...」
りょうや「い~ず」
いず「バカ......」
りょうや「いずちゃん」
いず「.........バカ」
バカバカ言い過ぎだっての...ちゃんと分かってるよ、お兄ちゃんはバカだよ
その点お前は天才だよ、でも知ってる...それが努力から来ていることを
いず「..........バ、カ」
倒れているりょうやを覗き込みながらいずはバカと呟き続けた
段々と声が震えてきている、掠れていた
りょうやはいずの頭をジンジンする痛みを帯びている右腕を伸ばして撫でた
いず「.........止めてよ」
りょうや「可愛い妹なんだから甘えなさいよ」
いず「...今は、そんなこと...」
りょうや「いず....」
りょうやは目を細め、ニッコリといずに微笑んで見せた
りょうや「大丈夫だよ...お兄ちゃんはここにいるだろ?」
いず「.......うん」
りょうや「死なないよ、星夏も残して」
いず「.........バカップル」
りょうや「......なぁいず」
だから笑ってろって...な?
そんな悲しい顔を俺に見せないでくれよ
そうさせたのは俺が原因なんだけど、お前がそんな顔しなくたって良いじゃん
いずも無事、りょうやも無事...
だから笑ってろよ、お兄ちゃん平気だから
いず「......、お兄ちゃん」
りょうや「....泣くなよ」
いず「........泣いてない」
フルフルと首を横にゆっくり、振ったいず
りょうや「父さんたちには、黙っといてな」
うるさいから、何か言われそうだし...あぁそうだ、走っていたとき派手に転んだとでと言おうじゃないか
いず「......バカお兄ちゃん」
りょうや「バカバカ言い過ぎだろ....」
いず「お兄ちゃん.....」
いずらしくない表情を浮かべている
今にも涙の雫が溢れて来そうだ、お兄ちゃんの顔にポタポタと雨のように降ってきそうだ
りょうや「....お前が無事で良かった」
怖い思いしたな、もう大丈夫だぞ?
そう言うといずは眉を寄せて、口をキュッと結んだ
そしてりょうやの口許を伝う赤い液体をポケットから取り出したハンカチで脱ぐって、頑張って笑顔を見せた
いず「......ありがとうお兄ちゃん」
りょうや「どう、いたしまして」
さて、どうしてこうなったのかな...?なんてついさっきの出来事を思い出しながら苦笑するりょうやは、まだまだ立ち直れていないいずの頭を撫で続けてやったのだ






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