第6話

わたしの志望動機‐後編‐
133
2018/11/29 06:59
扉を開け、頭だけ出して廊下に誰もいないことを
確認してから外に出た。

駆け足で非常階段に向かう。




マコ
誰にも見つかってない…
非常階段の扉に手をかけた時、
マコの後頭部に何かが当たった。
マコ
…ん?
後ろを振り向こうにも、強く当てられて振り向けない。
???
今朝起こった誘拐事件のニュースを見たかい?
マコ
え?はい?
???
今朝あるキャンプ場で女の子が誘拐された事件だ、どのワイドショーでもやっていただろう
マコ
…見ましたけど
???
あの教会に隠れてるって、なぜ分かった?
マコ
なんのことですか
???
情報を提供出来たのはお嬢さん以外考えられないんだけど
押さえられている力が弱くなったので、マコは後ろを見た。
???
初めまして、お嬢さん。
マコ
あなたは……なぜ…



そこに居たのは、あの白髪混じりの男だった。


???
私の部下が"End"を書き換えたのと同時にお嬢さんは電話をした。
物語は"End"に合わせて変化する。
マコ
なんの話ですか…
急いでいるので。
扉を開けて逃げようとすると、
男はマコの腕を強く掴んだ。
???
"End"が変わると、必要な記憶が補われる。
1度だけ聞いた話も、必要なら鮮明なものになる。
マコ
あ……




マコは警察に電話した時のことを思い出した。

あの時、続きを思い出せないくらい曖昧だった記憶が、急に鮮明なものになったのだ。

???
お嬢さん、あなたは人の話を盗み聞きしたうえ、人の仕事を妨害した。
それ相応の罰を与えたい。
マコ
わたしは悪いことなんてしてないでしょ?!
???
それは個人の考え。
それを他人に押し付けるのはどうかと思うが
マコ
今この場に100人呼んで意見を聞いたら、きっと100人ともわたしと同じだと思いますけど
???
まあどっちでもいい。
とにかく、これから1ヶ月私の会社で働いてもらう。
そこでは毎日"End"が書き換えられる。
上手くいけば、書き換えられた自分の未来を元に戻せる。
でも、あなたには"End"を書き換えることが出来る能力がないから出来ない。
マコ
届きそうで届かないものを1ヶ月見続けなさい、と?
???
そういう事だ。
社員に名前を伝えて書き直してもらうことも出来る。
が、もし自分の名前を伝えようものなら、私があなたの父親の物語を"終わり"にする。
マコ
何それ…わたしは従いませんよ
???
ほう、いい度胸。
だけど、そんなことするとあなたの人生"Bad"だらけになるよ?

こっちはあなたの一生を操れるってこと忘れてない?
マコ
……………
???
私のことはボスと呼びなさい
マコ
……………はい
???
じゃ、ついてきなさい





こうしてマコは、"End"で1ヶ月働くこと、そして書き換えられた未来に従うことを約束させられた。

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