高校に入ってから下校時の皓との集合場所は校門前。
「皓!」
「...涼...。」
「帰ろう。」
「....。」
「涼...」
お兄ちゃん...。
皓の後ろに隠れてたんだ。
「僕も一緒に帰っていい?」
「俺は...別にいい...。
涼がよければ...。」
...。別に嫌って訳じゃない。
だけど、お兄ちゃんに酷いこと言っちゃったかもしれない。
「うん...。
帰ろう。お兄ちゃん。」
....。気まずい
なんかすごく...申し訳ないな。
無関係の皓まで巻き込んじゃって。
「涼?...
あの、ごめんね。
急に結婚とか言って。
お兄ちゃん反省してる。」
無性にイライラする。
子供扱いされてる気がする。
「いいよ別に。
僕も言い過ぎた...
かも。」
「涼、でも
僕の奥さんは...」
僕の奥さん?...
結婚する『かも』って
言ってただけじゃん。
「お兄ちゃん...帰って来るなり
婚約者の話しかしてない...。」
「涼...」
「もうやだよ‼
僕のお兄ちゃんなのに‼」
僕は行き先のない路上を走った。
涙が...
止まらなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。