「まず一つだ。」
父さんはゆっくりと話始めた。
「竜魅は、本当の兄じゃない。」
僕は一瞬ビックリして目を丸くした。
「え?」
「義兄ということだ。」
少しビックリしたがここまではなんとなく受け止められた。しかし問題は二つ目だ。
「もう一つは」
父さんは少し間を開け、深呼吸をしてから僕の目を真っ直ぐ見て話出した。
「もう竜魅に近づくな。」
「え?」
正直意味が分からなかった。だってお兄ちゃんと僕は他人が羨むほど仲が良かったからだ。
「何で?僕とお兄ちゃんが仲良かったの父さんも母さんも知ってたでしょ?」
「でもダメなのよ‼」
母さんが泣きながら怒鳴った。父さんも母さんも今日はなんかおかしい。
「何で!?僕はお兄ちゃんが大好きなんだよ!?お兄ちゃんとこれから会えないなんて、僕考えられない!」
「うあああああああ!!」
母さんが大声で鳴き始めた。
「いい加減にしろ!」
え?本当によくわからない。お兄ちゃんが何か悪いことでもしたのだろうか。
「僕お兄ちゃんに会いに行く!」
「ダメだ!行かせない‼」
父さんが思いきり僕の腕を引っ張る。
痛...。
「ちょっ...離して‼」
すると父さんは怒鳴りながら言った。
「竜魅はお前が好きなんだよ‼」
「はへ?」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!