「一年生はこの高校に入れたことに誇りを持って...」
恒例の校長の長い話が始まる。
僕は校長の話より頭の方が気になって仕方がない。
あれ絶対かつらだろ。
「校長...かつら...とれないかな...」
「は?w」
皓もこういうこと言うんだ。
僕はついおかしくて吹き出してしまった。
高校生初めてのHRが始まる。
皓と同じクラスになれた。
席はちょっと離れちゃったけど。
「ねえねえ、私達の担任が新任でしかもイケメンなんだって!」
「嘘~!!
超特ダネじゃん。」
女子にとってはね。
「はーい、席につけー。」
「ヤッバ!マジイケメンじゃん!」
「それな~!!」
イケメンって...え?
嘘...そんなはず...だって...
「お兄ちゃん...」
「ッ!...涼...!!」
本当に...本当にお兄ちゃんなんだ...
夢じゃないんだ...。
会いたかったよ。
お兄ちゃん。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!