- 白布くんが退室し
病室にはあたしと侑くんの二人だけになった
あなた:どうして侑くんは此処に____?
- 病院は宮城。彼が住んでいるのは兵庫
何故此処にいるのか不思議だった
侑:マネさんから連絡もろて飛んできたんよ
あなた:え………?
- 侑くんとあたしが付き合っていることを
大森さんは知っている
だから何かあった時のためと言って
二人は連絡先を交換したらしい
侑:言うてえらい時間かかってしもたけど,ちょうどあなたが目覚めた時で良かったわ
- 外を見るともう真っ暗。夜中だった
彼は部活を終えてそのまま向かったらしい
あなた:……迷惑掛けてごめんね
侑:迷惑なわけないやろ
あなた:え……?
侑:被害者はあなたやん。謝らんといてや
- 侑くんはあたしの手を優しく握ってくれた
その優しい温かさにあたしは安心した
侑:思い出してしもた?
あなた:………うん………
- 侑くんもずっと1年生の時の事を気にしていた
だから侑くんはあたしに手を出してこなかった
そういう雰囲気になった事は何度かあった
でも____あたしが怖がってしまったのだ
侑:顔にも痣できてもうて………痛かったよな
- 侑くんはあたしの頬の痣を優しく撫でた
あなた:侑くんが来てくれたからもう平気だよ
侑:え?
あなた:侑くんに会えて,侑くんの声が聞けただけであたし嬉しいから
- " だから来てくれてありがとう "
あたしが微笑みながらそう言うと
侑くんも優しく微笑んでくれた
侑:こういう時………すぐに助けてあげてやりたかったわ
あなた:え………?
侑:守る言うたけど,遠くにおったら全然守れへん
- 侑くんは眉を下げながらそう言った
あなた:侑くん
侑:?
あなた:さっきも言ったけどあたしは侑くんにたくさん助けてもらってるよ
侑:え______?
あなた:あたしが辛い事があった時,泣きたい時,今だって傍にいてくれてるでしょ?
" それが1番の助けになってるよ "
あなた:だからそんな顔しないで?
侑:あなた____ありがとな
- 侑くんはそう微笑みながら
優しくあたしに唇を重ねた____。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!