白布:話してくれてありがとな
あなた:ううん。聞いてくれてありがとう………
- 白布くんはずっと口出しせずに
ただ黙ってあたしの手を握りながら
真剣にあたしの過去を聞いてくれた
白布:記憶を取り戻した事は宮には言ったの?
あなた:………ううん。言ってない
白布:?何で?彼奴は記憶を取り戻して欲しかっただろうし,思い出したって知ったら喜ぶんじゃねぇの?
- 確かにそうかもしれない
実際侑くんはまだ好きって言ってくれてるし
あたしもまだ侑くんの事が好きだった
でも______
あなた:あたしは自分のせいで侑くんを追い込んでしまったから………
白布:え?
あなた:バレー部を守りたいって気持ちで皆から嫌われる選択をしたのはあたし自身。でもそれによって勝手に傷付いて自殺未遂をしたのもあたし自身
白布:………!
あなた:あたしは自分の勝手な行動と判断で,結果的に侑くんを一生悔やませるほど追い込んでしまった
- あたしはそれが許せなかった______
あなた:あたしが侑くんと関わっている以上,侑くんはあたしを見てきっとあの事を思い出す
" きっと____一生後悔してしまう。 "
あなた:だからあたしはもう侑くんが自分を苦しめなくて良いように,あたしを忘れられるように" もう二度と関わらないで欲しい "って言ってきたの
白布:え…………!
- 白布くんは驚いた顔をしていた
それもそうだ
自分が知らない内に記憶を取り戻していて
自分が知らない内に
もう決着を付けてしまっていたのだから
白布:………あなたはそれでいいの?
あなた:え………?
白布:宮のこと,まだ好きなんじゃねぇの?
- そんなの______
あなた:好きだよ。
白布:………!
あなた:侑くんの事,あたしはまだ大好きだよ
白布:なら………
あなた:でも,侑くんを苦しませてしまった自分が許せないの
白布:………!
あなた:あたしはもう,侑くんを愛する資格も侑くんから愛される資格もないのッ………!!!!
- あたしが感情的になり声を上げると
突然______優しい温もりに包まれた
白布:………俺はあなたが自分をそんなに追い込んでる姿を見るのは嫌だ
あなた:え______?
白布:沢山苦しんできたのはあなただろ?なのにまだ苦しむのかよッ………!!
- あたしを抱き締める白布くんの手は震えていた
白布:あなた
あなた:………?
白布:それがあなたの選んだ答えなら____
『 もう,俺のところに来いよ______。』
- 白布くんはそう言って
あたしの唇に優しく口付けた____。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!