第19話

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2020/08/17 12:08




















侑 side












凛々華:ごめんね急に呼び出して




角名:いや,俺も凛々華と話したいと思ったから




侑:………












- 俺達は凛々華に連れられて体育館裏まで来た

凛々華に会うのは一昨年のクリスマスぶりやった

あん時あなたにもう一度想いを伝える為に

協力してもろたんやっけ____













凛々華:………あなたが去年の冬。稲荷崎で何があったのかは全部知ってる




角名:え………?




凛々華:……警察から全て聞いたの。あなた,嵌められて虐められていたんだよね




侑:ッ………!









- 凛々華はあなたが虐められていた事を知っとった

恋人である俺や従兄弟である角名からも

酷く虐められてた事を知っとるんや____













角名:………本当にごめん………




凛々華:謝る相手,違うよね?




角名:………ッ!




凛々華:私に謝っても私は貴方達に何もされていない













- " 私に謝ってもしょうがないよ "

凛々華の言う通りやった

あなた本人に謝らないと

何の意味も無いんや____












凛々華:それにきっとあなたは貴方達に謝って欲しいなんて思っていない




侑:え……?




角名:どういうこと………?




凛々華:あなたはバレー部の為に虐められた。春高に出場したければ悪女になれ,部員から嫌われろって言われてたんだよね?




角名:う,うん……




凛々華:だからきっと途中で貴方達にバレてしまったらあなたが虐められていた意味が無かった




侑:え………?




凛々華:あなたはきっと貴方達に虐められることによって____























『 これで春高に出場出来るって安心していた。』





















凛々華:だからあなたはきっと貴方達を悪いなんて思っていない。だから謝って欲しいなんて思ってもいないと思うの




角名:で,でも俺達は実際あなたを裏切って……




凛々華:裏切られた訳じゃない。虐められる事があなたの望みなら" 思惑通りに貴方達は動いてくれた "くらいに思っているんじゃないの?


















- 実際あなたが言うてた訳やないからわからへん

でももし本当にそうやったとしたら

本当に心の綺麗な奴を傷つけてしもたんや____











凛々華:……見てわかったと思うけどあなたは今全ての記憶を失ってる




角名:………!




凛々華:それは川に流された時に頭を強打したって理由もあるけど,何より" 記憶を受け入れる事を拒否している "ってお医者さんは言ってた






















- 当然や

大好きな人達に虐められたあんな辛い記憶

思い出しとぉ無いに決まっとる












凛々華:退院してから一度実家に戻ったけど,社長がスカウトをしてあなたはモデルになって直ぐに家を出た













- " 今は白鳥沢( ココ )の寮に入ってるみたい "

だからあなたは此処におったのか____










凛々華:様態が安定するまでは無理に記憶を取り戻そうとしないでほしいって医者にも言われたの




角名:………!




凛々華:でも様態が安定した今,やっぱり私はあなたに記憶を取り戻して欲しい。例えそれが辛い過去だったとしても,今のままでは何も変わらないから




侑:………俺が………






















『 俺が絶対にあなたの記憶を取り戻す。』






















- なぁあなた

ちっとくらい

俺にもかっこええとこ見させてや____











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