第38話

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2020/08/20 12:24




















白布:あなた




あなた:白布くん………!




白布:珍しいね。あなたから呼び出してくるなんて



























『 話って何____? 』





















- あたしは白布くんに話がしたくて

夜,あたし達が出会った桜の木の下で待ち合わせた












あなた:あのね,白布くんにどうしても話しておかないといけないことがあって………




白布:?何?




あなた:白布くんがあたしの事を思って記憶を取り戻す事を反対してくれていることも,新しい記憶の中で楽しい思い出を作ろうとしてくれてることもわかるの




白布:………




あなた:でも,あたしやっぱり______

























『 記憶を取り戻したい。』





















あなた:受け入れたくない程の辛い過去があるって知って,周りも思い出さなくていいって言うからあたしはそれに甘えて今まで逃げてた




白布:…………




あなた:でも………過去に関わった人達は深く関わった人達ほど____あたしが記憶を取り戻す事を望んでいる
























- 自分達が悪いと言いながらも

それでも思い出して欲しいと言ってくれた























あなた:思い出した結果あたしがどうなってしまうかはわからない




白布:…………




あなた:もしかしたら………辛い過去に押し潰されてしまうかもしれない。でも______



























『 このまま逃げていても何も変わらないから。』





















あなた:だからあたしはその辛い過去に立ち向かいたい




白布:え………?




あなた:あたしの過去が辛いものだとわかっていながらも立ち向かってくれている人達の気持ちにあたしは応えたい




白布:…………!





あなた:あたし______


























" 強くなりたいの______。 "





















白布:………それが………あなたの出した答え?




あなた:………うん



















- 白布くんは静かに話を聞いてくれた

話を遮ろうともせず

ちゃんと最後まであたしの" 答え "を聞いてくれた























白布:なんか余計なこと言っちゃったみたいだね




あなた:え………?




白布:あなたがその答えを出した以上,俺には" 思い出さないで "なんて言ってあなたを縛る権利はないよ






















- 白布くんは薄く微笑みながらそう言った



















白布:あなたの記憶。あなたの意思だ。思い出すも思い出さないも元々あなたの自由だからね




あなた:白布くん………




白布:あなた過去の記憶の中に俺は居ないから思い出してくれなくても俺には正直支障がなかった。だからどうせ辛い思いをするなら思い出さなければいいって思ってたんだ





あなた:え………





白布:でも____俺も深く関わった側の人間だったらきっと,辛い過去だとしてもあなたに思い出して欲しいと思うから





あなた:…………!






















- 宮くんはきっと

あたしの新しい記憶に入り込むと言ったのは

嘘では無いと思う

けど____記憶を取り戻す事を

絶対に諦めたりはしていない





















白布:思い出したことによってあなたはまた辛い思いをするかもしれない




あなた:…………!




白布:でも____俺はそばに居るから






























" 必ず____あなたの味方でいるって約束するから。 "
























- あたしの手を包み込む白布くんの手は

とても温かかった______。













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