第76話

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2020/08/24 12:24




















侑 side












- 春高前日,俺は身支度をしとった

炎上は中々収まらへん

それだけあなたが人気やって事や

でもあなたがこれ以上辛い思いをするのは嫌や

何か方法は無いんやろか______
































治:ツム!!!!




侑:何やねんサム













- サムが突然慌てて部屋に入って来よった














治:はよ!!下来てや!!はよ!!!!




侑:?


















- 俺はサムに促されるまま下に降りて

リビングへと向かった______























アナウンサー:えー今仙台駅にてあなたさんがいるのが確認できますね



















- テレビから聞こえてきた声

" あなた "と言う名前

俺が慌ててテレビを見ると

そこには駅前に群がる奴らの前に立つ

あなたの姿があった
























あなた:こんにちは,水城あなたです!今日は皆さんにお伝えしたい事があって,勝手ながら此処に立たせて頂きました!!




ファン:あなた可愛い〜!




ファン:伝えたい事って何だろう?




ファン:謝罪とか?( 笑 )




















- まだあなたを応援する者,批判する者

様々な人達がいる中で

あなたは前に立っとった











あなた:先日は皆さんに多大なご迷惑をお掛けしてしまって申し訳ございませんでした……!




ファン:え?




あなた:でもあの人は正真正銘あたしの彼氏です!!




マスコミ:!交際を認めたぞ!!!!
















- あなたの交際を認める証言に反応するマスコミ達

あなたは何で______

















あなた:彼はまさに雑誌のインタビューで答えさせて頂いた方です




ファン:やっぱり……!




あなた:中学生の時,あたしは初恋の人や家族と色々あった関係で恋愛から背を向けていました





















- あなたが話し出すと

自然と周りも静まり返った












あなた:あたしは訳あって高校は実家を離れ,兵庫の稲荷崎高校に入学しました。そこで出会ったのが" 彼 "です




ファン:兵庫?




ファン:あなたも稲荷崎に通ってたんだ…!




あなた:雑誌でお伝えした通り彼は女嫌いであたしも最初は嫌われていました( 笑 )でも_____





















『 恋愛から背を向けたあたしと女嫌いな彼

本当なら交わることのなかった二人が

いつの間にか惹かれあっていたんです。』



















あなた:彼はあたしに前を向かせてくれました




ファン:え?




あなた:あたしもまた,彼に前を向かせる事ができました






















『 高校1年のクリスマスに

あたし達は一度付き合い始めたんです。』




















あなた:けど高校2年生の冬,訳あってあたしは虐められて自殺未遂をしました




ファン:え………?




あなた:その関係で頭を強く打って記憶を失ってしまったんです




ファン:記憶を____?



















- あなたは辛い過去も皆に伝えとった



















あなた:記憶も無くてどうしようもない時に,あたしをスカウトしてくれたのが社長です




ファン:………!




あなた:あたしはモデル活動をしながらも彼と再会をしました。彼は必死にあたしの記憶を取り戻そうとしてくれました


















- 俺は____あん時必死やったと思う




















あなた:記憶を無くしてもまた,あたしは彼に恋をしました




ファン:え……!




ファン:すごい……!




あなた:けれどあたしのせいで彼の事を苦しめてしまったのは事実。だから記憶を取り戻したあたしは彼から離れることを決断したんです























- それが______あのインタビューの時や






















あなた:でもお互い好きなのに何でって。お互い十分辛い思いをした。今度は自分達が幸せになる番だろって彼は言ってくれました




ファン:………!




あなた:あたしはまた,彼と交際を始めました。バレるかもしれない,そんなリスクを背負ってでも彼といる事をあたしは選びました























『 あたしはこの決断を間違っているとは思いません。』


















あなた:ただやはり注意が行き届いていなかったのは自分の責任です。それで皆さんにご迷惑,ご心配を掛けた事も事実です。本当に申し訳ございませんでした




ファン:あなた………




あなた:でも………あたしは彼と別れません




ファン:え………?




あなた:彼と約束したんです



























『 もう離れないって______。』





















あなた:黙っている事は簡単です。でもあたしは隠し事をしながらファンの皆様にぶつかっていくことは出来ないと思ったんです




ファン:………!




あなた:賛否両論あると思います。でもあたしは一人でも応援して下さる方がいるならそれに応えたい。だから____モデルも絶対に辞めません























- ええんやであなた。もっと欲ばれや



















あなた:彼と付き合ってるからってあたしが悪く変わる訳じゃない




ファン:え?




あなた:彼はあたしを良い方向に変えてくれます。あたしに笑顔をくれたのも彼です




ファン:………!




あなた:だからあたしは強く生きます





























" そう,彼と約束をしたから______ "
































- " 侑くん,あたし強くなったよ "






























そう言わんばかりの柔らかい笑顔で






























あなたはリングを薬指につけた左手を































高く空に掲げた______。











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