白布 side
川西:じゃあ俺今日は五色んとこ行くから
白布:おう。んじゃまた明日
川西:お疲れ
- 俺達は練習を終えて寮に戻っていた
同室の太一は後輩の五色の部屋に行くらしい
今日は静かに寝れるな____
白布:……ん……?
- 太一と別れて辺りを見渡すと
大きな桜の木の下のベンチに
見たことの無い女の子が座っているのが見えた
あなた:………
- その子は何処か悲しげな目で空を見上げていた
俺は女子にそんな興味がある訳ではないから
見たことの無い女子が居てもおかしくはない
でも何故か____その子から目が離せなかった
白布:……おい
あなた:………!
- 結構な時間が経ち日は完全に落ちた
けど彼女はずっと空を見上げていた
俺は思わず近付いて声を掛けてしまった
白布:こんなとこで何してんの?
あなた:………
- 彼女は眉を下げてながら俺を見た
でも____何も答えなかった
白布:もう暗くなってきたし帰らねぇと危ねぇぞ
- 学校は始まってないからか彼女は私服だった
でも春休みにわざわざ学校に私服で来るとは考えにくい
白布:寮の子?
あなた:………
- 彼女はようやくコクンッと小さく頷いた
よくよく見ると彼女の身体は細すぎるほどだった
白布:細すぎね?ちゃんと食ってんの?
あなた:………
- 彼女は目を逸らした
触れて欲しくなかったのだろうか
恐らく彼女は" 何も食べていない "だろう
白布:とにかくもう暗いし早く部屋戻れ
あなた:………
- 彼女は小さく首を横に振った
何だ____?
白布:戻りたくねぇの?
あなた:………
白布:はぁ………なら
『 今日は俺と一緒にいるか? 』
- 俺がそう言って手を差し伸べると
小さくて冷たい手が俺の手をゆっくりと取った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。