- 宮くんのひまわりのような笑顔は
やはり何処か懐かしい感じがした____
侑:で?何処に行きたいん?
あなた:え?
侑:自分,行きたいところある言うてたやろ?
- そう,あたしは東京に行ったら
絶対に行きたいと思っていた所があったのだ
あなた:此処………!
侑:?此処?
- あたし達は駅前の建物までやってきた
建物の中にある可愛らしい雰囲気のお店
東京限定の" パンケーキ屋さん "だ
あなた:すごい……可愛い………!
- 店員さんに席に案内された
店内も可愛らしい雰囲気で
あたしは席についてからも店内を見渡していた
侑:此処に来たかったん?
あなた:うん。東京限定ですごく美味しいパンケーキ屋さんなんだって……!
侑:そうなんや
- 宮くんは店内では無く
あたしを見て嬉しそうに微笑んでいた
侑:どれにするん?好きなの選んでええで
あなた:え?
侑:?俺は一人で食えるけどあなたはこの量一人じゃ無理やろ?
- 宮くんの言う通りだった
あたしは一人前を食べられたことがない
あなた:で,でも………!
侑:一緒に食おうや
あなた:え………?
侑:せやから好きなの選び
- 宮くんはそう微笑んでくれた
あたしはお言葉に甘えて" イチゴのパンケーキ "を選んだ
侑:にしてもほんま女子ばっかやなぁ
- 注文を終えて改めて店内を見渡すと
店内は当たり前ながら女の子で溢れ返っていた
あなた:………ごめんね
侑:?何で謝るん?
あなた:あたし東京来たら絶対行きたいと思ってて……でも東京には友達もいないし……お姉ちゃんも仕事で予定合わないから………
- あたしはこんな所に宮くんを誘ったことを
今更ながら申し訳なくなってしまっていた
侑:なんや,そんな事かいな。気にしなくてええんやで?
あなた:え………?
侑:俺はあなたと一緒にいられるだけで嬉しいし,あなたは此処に来るのに" 俺を "選んでくれたんやろ?
- たまたま同じ日に東京にいると知った
けどそれが宮くんじゃなかったから
きっとあたしからなんて誘っていなかった
侑:あなたに誘ってもらえて俺は嬉しいで?
あなた:え………?
- " せやからありがとな "
宮くんは嬉しそうにそう笑っていた
あたしも連られて頬が緩んでしまった
店員:お待たせしました〜!イチゴのパンケーキです!
あなた:………!来た………!
- 運ばれてきたのは
メレンゲを使ったふわふわのスポンジに
たっぷり生クリームとイチゴが乗せられた
とても美味しそうなパンケーキだった
侑:これはあなた一人やと絶対無理やな( 笑 )
あなた:うぅ………
侑:ま,その為に俺がいるんやろ?
- 宮くんは優しく微笑みながら
" 食べよか "とフォークとナイフを渡してくれた
あなた:いただきます………!
- パンケーキにナイフとフォークを付けると
スポンジに吸い込まれていく
それだけでどれだけふわふわしているかがわかる
一口サイズに切って生クリームといちごを乗せ
あたしは口の中に入れた____
あなた:………!美味しい………!
- 口に含んだパンケーキは溶けて無くなってしまった
そのくらいふわふわしていて
味もスポンジが甘すぎず丁度いい
とても____美味しかった
侑:そんなに美味しいん?
あなた:うん……!宮くんも食べてみて……!
侑:ほな____
- " 食べさせてや "
宮くんはそう笑いながら口を開いた
あなた:えッ………?
侑:何や?くれへんの?
- 突然の事に私は戸惑った
けど宮くんはそれを辞めようとしない
あたしは渋々パンケーキを
宮くんの口に運んだ
侑:ん,ほんまや。めっちゃ美味い
あなた:!でしょ………?
- 宮くんも" 美味しい "と微笑んでくれた
よかった______
店員:いらっしゃいませ〜!
あなた:………!
- 案内されたお客さんを見ると
その人達はカップルだった
侑:やっぱカップルでも来るんやな
あなた:え………?
- 同じお客さんを宮くんも見ていた
あたし達もカップルって思われてたりするのかな?
でも確か宮くんって______
あなた:ねぇ
侑:ん?
あなた:宮くんには彼女がいたんだよね?
侑:え………
- 花火大会で遭遇した男子たちの話を思い出した
あなた:その彼女さんの事が………忘れられないんだよね?
侑:………おん………
- 宮くんは少し寂しそうに微笑んだ
忘れられない子がいるのに
あたしなんかに時間を使っていていいのだろうか?
そう思うと
何故か____すごく胸が痛かった
侑:でも,今俺がしとる事は間違っとらんから
あなた:え______?
侑:俺が今あなたと一緒にいる事は____
" 無駄な事でも間違いでも何でもあらへんで。 "
- 宮くんはそう言ってくれたけど
なんで______?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。