侑 side
- あなたがモデルデビューをしたという事実は
周りの奴らは誰も知らんかった
後から知った話
角名のいない間にあなたの荷物が実家に運ばれたらしい
あなたは今宮城におるんやろか?
連絡手段も何も無いまま1ヶ月が過ぎた____
侑:へぇ,白鳥沢って綺麗なんやな
角名:そりゃあ私立だからね
治:なんかお高そうな学校って感じやったやん
- 5月 GW
俺達は宮城の白鳥沢に合同合宿に来ていた
白布:白鳥沢主将の白布賢二郎です。よろしくお願いします
侑:稲荷崎主将の宮侑です。よろしゅう
- 体育館に着くなり硬そうな主将が出迎えた
此奴確かセッターやったよな
ポジションまで俺と同じかいな
侑:さっぱりしたわぁ
治:白鳥沢は合宿所まで広いんやな
角名:部活に力入れてそうだもんね
銀島:流石私立や………
- 1日の練習を終え,俺達は風呂に入った
侑:俺自販行ってくるわ
治:おん。先部屋戻っとるわ
- 俺はサム達と別れて
合宿所の入口にある自販機に向かった
侑:………ん………?
- 階段を降りて下に向かうと
誰かの話し声がした
男の声と女の声
桃奈はあの一件で退部しとるから
お互いマネージャーはおらんはずやった
侑:( 誰か女連れ込んどるのか……? )
- 俺は成る可く音を立てないように階段を降りた
直ぐ近くに聞こえる話し声
階段から降りてそっと話し声のする方を覗いた
俺は____目を疑った
そこにおったのは白鳥沢の主将と____
侑:あなた______?
あなた:え………?
白布:ッ!?
- 俺の大好きな初恋の相手
やっと……やっと会えたんや____
白布:呼び出してごめん。早く戻りな
あなた:え?あ,うん?
- 白布はあなたの背中を押して
合宿所から出そうとしとった
侑:待ち!!
あなた:え……?
- 俺は思わずあなたの手首を掴んだ
あなたは驚いた顔で俺の顔を見上げた
侑:やっと……会えた……
あなた:え………?
侑:ずっと謝りたかってん。でも急に会えんくなったと思ったらモデルになんかなりよって………
あなた:え………?
- ずっと謝りたかった
謝って許されることやないってわかっとるけど
俺たちの為にバレー部を守ってくれたお礼
それなのにあなたを傷付けた謝罪を
どうしても直接したかったんや____
侑:謝って済む話やないってわかっとる。でも………!
あなた:あ,の………!
- 俺が謝ろうとしたら
それはあなたに制された
あなた:貴方………誰ですか……?
侑:………え?
- あなたはふざけとるのか……?
そんなに……俺の謝罪も聞きたくないんか……?
あなた:あたし達………
『 何処かで会ったことありますか____? 』
- あなたはふざけてる訳やなかった
本当に____俺の事を忘れてしもたんや。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。