侑 side
凛々華:今日は晴れてよかったねー!
- " 文化祭日和! "
そう笑う凛々華はやっぱりあなたに似とった
俺は凛々華に" 会いに来た "と連れられ
二人で屋上にやって来た
凛々華:侑くんのクラスは何やってるの?
侑:お化け屋敷やで
凛々華:お化け屋敷!?うわ絶対怖いやつじゃん!
侑:かもな。クラスの奴ら張り切っとったし
凛々華:まぁ最後の文化祭だしそりゃあ力入れるよねー!
- " 私は最後の文化祭,仕事で出られなかったんだよね "
凛々華はそう笑っとった
あなたも今頃仕事しとるんやろか______
侑:で,俺に会いに来たって?
凛々華:うん!そうだよ!
侑:何でわざわざ?
凛々華:そりゃあ私が侑くんに用がある理由なんて一つしかないでしょー!
侑:?
- 俺が首を傾げとると
凛々華は鞄から何かを取り出した
凛々華:これ,今日の夕方から発売の雑誌
侑:え?
凛々華:先に事務所で貰っちゃった!
- 凛々華が取り出したのは一冊の雑誌
その雑誌の表紙は
ひまわりを持ったあなたやった
侑:………今回のもよぉ撮れとるな。綺麗や
- あなたが表紙のやつはもちろん
載ってる雑誌は全て買っとった
せやからこの雑誌も夕方には俺の手元にある予定やった
せやけど何でわざわざこれを____?
凛々華:表紙も可愛いんだけどさ,注目して欲しいのはそこじゃないんだよね!
侑:え?
- 凛々華は表紙の文字に指を置いた
" あなたさんに突撃インタビュー "
侑:突然インタビュー……?
凛々華:予告無しでインタビューされるの!考える時間が無いから素の答えっていう企画みたいなやつなの!
- 俺は雑誌を捲った
中にはたくさんのあなたの写真と共に
スタッフとあなたの会話が文章で書かれていた
「 好きな食べ物は何ですか? 」
『 杏仁豆腐です 』
「 何で杏仁豆腐なんですか? 」
『 え?考えたことなかったです( 笑 )美味しいから? 』
- 本当に素で返ってきた答えを
そのまま書いてあるようやった
「 ずばり初恋は何歳? 」
『 13歳!中1の時です 』
「 お相手とは結ばれたの? 」
『 結ばれてないです( 笑 )でも______ 』
" 高校で素敵な人と出会いました。 "
侑:え________?
「 どんな人? 」
『 すっごく女嫌いで怖くて
あたしも最初嫌われてました 』
「 え!?そうなの!? 」
『 はい( 笑 )でも段々とお互いが心を許し始めて
彼の優しさとか誠実さとか
見えなかったところが見えてきたんです 』
「 へーそうなんだ!」
『 あたしは彼にたくさん助けられたんです 』
「 と,言いますと? 」
『 彼はあたしに前を向かせてくれたんです 』
「 なんかわかんないけどすごい!( 笑 )
あなたにとって大切な人なんだね 」
『 はい!大切で____とても大好きな人です 』
「 おっと?いいのかそんな事言って!( 笑 ) 」
『 だってほんとの事ですもん( 笑 )
でも____もう会えないんです 』
「 え?何で? 」
『 あたしが酷く傷付けてしまったから
もう会えなくなってしまったんです 』
侑:これは______俺の事………?
「 そうなんだ。なんか大変だったんだね 」
『 はい。でも,あたしの気持ちは変わりません 』
「 気持ち? 」
『 はい!たとえ会えなくなっても,
あたしはずっと______ 』
" ひまわりのような彼の事が大好きなんです "
侑:あなたは………記憶を………?
凛々華:………ええ
侑:ッいつから!?
凛々華:あなたが緊急搬送されたあの日。ひまわり畑で全てを思い出したみたいなの
侑:え______?
- 緊急搬送された時って……
じゃあ俺と最後に会ったあの時にはもう
記憶を取り戻しとったんか______?
凛々華:あなたに何か言われたんでしょ?
侑:……もう二度と関わるなって言われたんや
- 記憶を取り戻した上で俺が嫌いになったんか?
でもこのインタビュー ………
言うてる事が違うやないか____
凛々華:それはあなたの本心じゃない
侑:え?
凛々華:あなたは記憶を取り戻した時,辛い過去を引き摺った訳じゃない
『 侑くんを自分のせいで追い込んでしまった自分を
許せなかったの______。』
凛々華:自分と関わる以上侑くんは一生後悔する
侑:え………
凛々華:だからあなたは侑くんが早くその事を忘れられるように自ら縁を切る選択をしたの
" 記憶を取り戻した事を隠しながら____ "
- 俺は次のページを開いた
どうやらインタビュー最後のページらしい
「 そのひまわりを彼だと思ってください! 」
- そう書かれた文字と一緒に写るのは
______ひまわりを抱き締めるように持って
柔らかく微笑むあなたやった。
凛々華:あなたも一緒に来たよ
侑:え?
凛々華:話がある人がいるって言うから校内の何処かにいる
侑:ッ!!
- 俺は勢いよく屋上を飛び出した____。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。