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第1話

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161
2021/05/18 07:41
沙優
沙優
ねえ文也、相談があるんだけど
文也
文也
何?
沙優
沙優
彼氏のことなんだけど
文也
文也
あー彼氏できたんだ?
沙優
沙優
そう。最近できたんだけどね。なんかイマイチ上手くいかないっていうか・・・
文也
文也
ふーん、それで?
沙優
沙優
ちょっと話聞いてもらいたいの。結構深刻でさあ。
文也
文也
うん、いいよ。
沙優
沙優
いつ会える?
文也
文也
え?会って話すの?
沙優
沙優
うん。だめかな。やっぱり会った方が伝えやすいかなって思うんだよね。
文也
文也
そうなんだ。ラインでも大丈夫だと思うよ?
沙優
沙優
でもラインで話すの自信なくてさ。私語彙力ないからさw
文也
文也
実際会って話す分には語彙力関係ないの?
沙優
沙優
んーそういうわけじゃないんだけどさあwじゃあラインで聞いて。
文也
文也
うん、それなら全然いいよ
沙優
沙優
彼氏がね、最近構ってくれないの。なんでかなあ?
文也
文也
あれ?最近付き合ったって言ってなかったっけ?最近付き合ってもう構ってくれないの?
沙優
沙優
そうなんだよね。私何かしたのかなって思ってさ。心当たりないんだよね。
文也
文也
分からないけど、仕事が忙しかったりするんじゃないの?彼氏何の仕事している人?
沙優
沙優
I T系だと思う。確かに忙しいのかもしれないなあ
文也
文也
帰りは何時くらい
沙優
沙優
うーん22時ごろかな
文也
文也
休みの日とかないの?
沙優
沙優
あると思うよー。でも仕事で疲れてるから誘いづらくてさあ。
文也
文也
そしたら仕方ないよねー。ちなみに沙優って今仕事何しているの?
沙優
沙優
私は今知り合いのカフェで働いているよ。
文也
文也
そうなんだ。前の仕事は?
沙優
沙優
やめたんだよね。人間関係が上手くいかなくてさ。たまたま知り合いのおばさんが声かけてくれてさ。
文也
文也
おーよかったじゃん。
沙優
沙優
私、将来カフェの経営したいんだよね。新しい夢できた
文也
文也
いいね。応援しているよ。
数日後
沙優
沙優
文也〜。ちょっとお願いがあるの。
文也
文也
何?
沙優
沙優
今、河見駅にいるんだけど迎え来てほしい
文也
文也
沙優、駅から家近くなかったっけ?
沙優
沙優
近いけど、夜だから怖くて
文也
文也
怖くないでしょ。大丈夫だよ
沙優
沙優
でも、怖い。迎えきて
文也
文也
そんなことのために車出すのやだよー。歩いて帰りな
沙優
沙優
やだやだ
文也
文也
わがまますぎるだろ
沙優
沙優
酔っ払いの人もたくさんいて怖いの
文也
文也
てか今ちょうど彼氏が仕事終わる時間じゃない?彼氏に頼めば?
沙優
沙優
彼氏来てくれないもん
文也
文也
何でそんな彼氏と付き合ってるの?
沙優
沙優
え・・・何でだろ・・・
文也
文也
てかさ、彼氏いるの嘘だよね?
沙優
沙優
嘘?何で?
文也
文也
彼氏のこと相談してきたときあるじゃん。あの時すごく違和感あったんだよね。

相談内容がすごく抽象的で、具体的な話は何もなかったし、彼氏のことを聞いても

「〜だと思う」って返ってくるから、自分の彼氏のこと何も知らないじゃんって思って
沙優
沙優
あー・・・
文也
文也
だからそもそも相談なんてない。相談するために彼氏を捏造したんだよね。

何でそんなことしたの?
沙優
沙優
え・・・文也と会いたかったから
文也
文也
やり方がめんどくさいんだよね。
文也
文也
沙優ってさ、何かに対して真正面からぶつかったことないんだよね

傷つくのが怖いから、断られた時に自分を納得させる理由が欲しいから

いつも回り道するんだよね。でもそれで行きたい道にたどり着いたことはない、そうでしょ?
沙優
沙優
うん・・・
文也
文也
下心を隠しても、伝わる人には伝わっちゃうんだよ。

何かと口実を作って話そうとするのってすごく嫌だなって思う
沙優
沙優
じゃあ話したいから話そう
文也
文也
うーん。気が乗らないな
沙優
沙優
何で?そっちが下心を隠すなって言ったんじゃん。ひどくない?
文也
文也
そういう問題じゃないんだよね。

まずは自分の素直な気持ちを表現することが大切なんだよ。

そうしないと沙優のことを分かってもらえないし、下心を隠し続けるのは辛いと思うよ。
沙優
沙優
でも下心隠さないとキモいじゃん
文也
文也
そうかな。俺は少なくとも、正直に言ってもらった方が好感はもてる
沙優
沙優
そうなのかな・・・
文也
文也
そのままだと本当に欲しいものが手に入らないよ。
沙優
沙優
どういうこと?
文也
文也
欲張りなくせに自分の本当の気持ちとは向き合わず逃げ続けている。

仕事やあらゆる人間関係でも沙優はそうだと思うんだよ。

誰かに認められたものしか求めず、本当に望むものを誰かに否定されないか、内心ではビクビクしている。
沙優
沙優
そっかあ。なんか色々とショック。

というか、心にすごく刺さる。私っていつも大事な問題から目を背けてたのかな。
文也
文也
まずは見栄を捨てることじゃないかな。

今の自分の位置を知って、届く範囲のことからはじめてみる。

今沙優にとって必要なことは、理想と現実のギャップを埋めていくことだと思う
沙優
沙優
でも何をしていいのか分からない
文也
文也
まず嘘をつくのをやめることかな。

今の自分の弱さや未熟さを自覚して、できることからやっていくしかないと思う
沙優
沙優
分かった。ありがとう。ちょっと頑張ってみる。
文也
文也
うん、頑張れ。
沙優
沙優
頑張って、文也に報告できるようになったらデートしてくれる?
文也
文也
いいよ。楽しみにしとく。

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