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第1話

序幕 演劇少女の淡い始まり
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2022/11/30 02:12
──明るくて優しい国のお姫様と、華麗で美しい国の王子様がおりました。
二人は恋に落ち、結婚しようと考えるのですが、お姫様の国王に反対されてしまいます。
諦めていたお姫様。しかし、お姫様の国王のところに王子様がやってきます。
そして、王子様の素晴らしい説得により、二人は結ばれ、幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。

 ありきたりな、王子と姫が結ばれる話。
 羨ましかった。素敵な王子に大切にされ、守られる姫が。
 けれど私は「王子」。容姿、性格、雰囲気のせいか私はいつも「かっこいい」と言われるばかり。
 もちろん、みんなは悪気なく私のことを褒めてくれているとよくわかっているし、褒めてくれること自体は悪いことじゃない。それでも──。
 私は、王子になりたいわけじゃない。
 こんなことをいうのは、おかしいのかもしれない......でも。
 姫に、なってみたい......守られる、大切にされる、美しく、優しく、かわいい姫に。


 その瞬間は、夢のように思えてしまう。
「あの、さっき演劇をしてた人......ですよね!」
 なんだか私の意識がふわふわしているような気がして。
「わたし、さっきの演劇を見て、大好きになりました......」
 眠気が襲ってきているようで、はっきりしなくて、すごく不思議な時間だったと思う。
「だってわたし──」
 でも、どうやら夢ではないようだ。

「ひとめぼれしましたからっ!」

 私の演技を、好きになってくれる......後輩。
 ここまでストレートに伝えてくれる人なんて、これまでいなかった。だからすごく新鮮で、驚きばかりで、正直実感がなかった。
 それでも彼女は確かに、私が自分の演技に胸を張れるような勇気を与えてくれた。


 ──この時はまだ、彼女のひとめぼれの真意を知らなかった。







ミスがあったので一部修正・更新しました。

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