気付いたら、暗闇にいた。
向こうから声が聞こえる。
この声は...
お母さん?
お父さんとおばあちゃんも...?
お兄ちゃんも。
どうしたの?
そんなうめき声あげて。
「ゆ..い...」
「何で助けてくれなかったの?」
「何であのとき、来なかったの?」
助ける...?あのとき...?
私、そんなの知らないよ?
勢いよく起き上がる。
自分の部屋にあるカーテンの隙間から
光がさしこむ。
また、あの夢。
最近、あの夢をよく見る。
私、花江結は極普通の人間。
普通の家族に普通の友達。テストの点数も普通。
でも最近、普通じゃない。
あの夢を見るからだ。
この夢のことは親には話していない。
何でって?それは....
なんとなく。
朝ごはんを食べながら、ニュースを見る。
ね?普通でしょ?
朝ごはんを食べていると、ニュースで、
不思議なことが報道された。
「本日未明、3年前にとある事件が発生した
ことが警視庁によって発表されました。」
「事件の内容は、“たった3日間で町の人が
死滅する”ということでした。」
そんなことが起こるなんて...。
たった3日間だけで?
ある意味すごい。
キーンコーンカーンコンン
この女に見える男は、私の幼なじみ。
幼稚園から一緒で、不破咲田という名前。
結構モテる。
キーンコーンカーンコーン
帰り道...
正直言うと、あの夢は怖い。
だってそうじゃない?
目の前で自分の家族がうめき声をあげてるんだよ?
そんなの、怖いに決まってる。
突然、目の前にぬいぐるみが現れた。
くまとかそういうやつじゃなくて、
なんか、こう、もっと怖い...
一つ目のぬいぐるみ。
その、ウシビというぬいぐるみは
私の方に歩み寄り、笑うかのように
一つ目を糸みたいに細めて、こう言った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。