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第1話

ユメ
2,530
2018/12/23 10:49
気付いたら、暗闇にいた。



向こうから声が聞こえる。



この声は...





















お母さん?



お父さんとおばあちゃんも...?



お兄ちゃんも。




どうしたの?





















そんなうめき声あげて。















「ゆ..い...」





「何で助けてくれなかったの?」




「何であのとき、来なかったの?」

















助ける...?あのとき...?



私、そんなの知らないよ?























花江 結
はっ...!
勢いよく起き上がる。

自分の部屋にあるカーテンの隙間から
光がさしこむ。

また、あの夢。

最近、あの夢をよく見る。



















私、花江結は極普通の人間。

普通の家族に普通の友達。テストの点数も普通。

でも最近、普通じゃない。

あの夢を見るからだ。
花江 結
何なんだろう...
お母さん
結ー!朝ごはんできたよー!
花江 結
はーい
この夢のことは親には話していない。

何でって?それは....



















なんとなく。
花江 結
美味しい...
お母さん
そう?ありがと。
朝ごはんを食べながら、ニュースを見る。

ね?普通でしょ?



















朝ごはんを食べていると、ニュースで、
不思議なことが報道された。



「本日未明、3年前にとある事件が発生した
ことが警視庁によって発表されました。」

「事件の内容は、“たった3日間で町の人が
死滅する”ということでした。」

















花江 結
マジ...?
お母さん
こわいね...
そんなことが起こるなんて...。

たった3日間だけで?

ある意味すごい。
お母さん
あっ!もうこんな時間!結!
遅刻するよ!
花江 結
...
お母さん
結...?
花江 結
あっ...ごめん!
うん。今、食べ終わる。





















キーンコーンカーンコンン






花江 結
ふぅ...なんとか間に合った...。
不破 咲田
あ、結!おはよー!
花江 結
おはよー
この女に見える男は、私の幼なじみ。
幼稚園から一緒で、不破咲田という名前。

結構モテる。
不破 咲田
ギリギリだったね
花江 結
まあね...(笑)
不破 咲田
あ、そういえば!
花江 結
...ん?
不破 咲田
今朝のニュース、見た?
花江 結
あー。見た。
不破 咲田
怖いよな
花江 結
でも何で警視庁は、3年前の事件を
今頃発表したんだろう。
不破 咲田
さぁ。分かんない。
先生
着席ー。授業を始めるぞー。
不破 咲田
あ、先生だ。じゃあ、また後で。
花江 結
うん。






















キーンコーンカーンコーン








先生
今日の授業はここまでー。
花江 結
ふぅ。終わった。
不破 咲田
結、ごめん!これから、委員会が
あって、一緒に帰れない!
花江 結
えー。寂しい。行かないで。
不破 咲田
結が俺に甘えた...。
可愛いいけど、なんかなぁ...。
花江 結
嘘。
不破 咲田
嘘かよ!まぁ、いいや。
じゃあな。また明日!
花江 結
うん!バイバイ!


















帰り道...







花江 結
明日もまた、あの夢を見るのかな...
正直言うと、あの夢は怖い。

だってそうじゃない?

目の前で自分の家族がうめき声をあげてるんだよ?

そんなの、怖いに決まってる。






















花江 結
...え?
突然、目の前にぬいぐるみが現れた。

くまとかそういうやつじゃなくて、
なんか、こう、もっと怖い...
















一つ目のぬいぐるみ。
ウシビ
ウシビ
やあ。こんにちは。
花江 結
喋った...⁉
ウシビ
ウシビ
僕は、ウシビ。
花江 結
...
ウシビ
ウシビ
ははっ。そんな怖がらなくても
大丈夫だよ。
その、ウシビというぬいぐるみは
私の方に歩み寄り、笑うかのように
一つ目を糸みたいに細めて、こう言った。



























ウシビ
ウシビ
楽しいゲームの始まりだよ。

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