第18話

タカラサガシ Ⅱ
935
2018/12/29 14:54
『あなたは、誰?』




















...え?
片岡 楓
先..輩...?
花江 結
あなたは私の後輩なの?
先輩は起き上がって、そう言った。
片岡 楓
覚えて、ないんですか...?
俺がそう言うと先輩は、悲しそうに笑って、
花江 結
そうみたい。
と言った。
花江 結
ごめんね...
どうして先輩の記憶が...



















「君にとっての宝は何かナ?」



「時間?お金?それとも...」





















「大切な人の記憶?」



















サシビの言葉。



あぁ。そうか。そういうことだったんだ。



















サシビは宝を隠した。


“記憶”という名の宝物を。


















じゃあ、どこに隠したんだ...?

先輩の“記憶”はどこに...






















「人は独りでいれば傷付かない。」


「人は他人がいないと生きているか分からない。」





先輩の言葉が頭をよぎる。



















そうだ。あそこに行けば...




















─────────────────────────────────





















放課後...








生徒
あー終わったぁー。
生徒
そういえば、昼の放送
何だったんだろう...
生徒
さぁ。誰かのイタズラじゃない?
誰も、あの放送を信じていない。

授業も普通にあった。


町がいつも通り動いている。


もしこのまま、夜が明けたら...
片岡 楓
...
怖い。怖いけど...






















ここで諦めるわけにはいかない。



















─────────────────────────────────






















花江 結
へぇ。あなたは、楓っていう
名前なんだ。
片岡 楓
はい。
ここは遊園地の大観覧車の中。


ここなら、先輩の記憶がよみがえるかもしれない。

そう、思ったから、ここへ来た。
片岡 楓
俺の頼み、聞いてくれて
ありがとうございます。
花江 結
ううん。いいよ。
花江 結
観覧車好きだし。
先輩はそう言って笑う。
























ちょうど、一番上にきた。
花江 結
わぁ..綺麗...
今は夜。

あの時と、同じ時間。



先輩。

どうか、どうか...


















思い出してくれ...



















花江 結
楓君...
片岡 楓
な、何ですか...?





ギュッ





突然、先輩が俺に抱き付いてきた。
片岡 楓
せ、先輩...⁉
花江 結
片岡楓。私の後輩。
...?
花江 結
ジェットコースターが苦手な
可愛い後輩...
花江 結
美味いお弁当が作れる
凄い後輩...
花江 結
「死なないで」って言ってくれた
優しい、優しい、私の後輩...!
先輩?もしかして...
花江 結
思い出したよ...!
花江 結
忘れちゃって、ごめんね?
花江 結
もう、思い出したよ...!
先輩はそう言って、笑った。





















思い出してくれた。




















俺は、“記憶”という名の宝物を、見つけたんだ。

ゲーム、クリアしたんだ。






















良かった...






















片岡 楓
もう、忘れないでくださいよ?先輩。
俺は笑いながら、そう言った。
花江 結
うん。忘れない。忘れないよ...!
先輩も、笑いながら、そう言った。

























どうだ。宝、見つけたぞ。サシビ。


















ははっ。




















俺の勝ちだ。

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