第16話

リゲーム
1,003
2018/12/27 08:37
気付いたら、暗闇にいた。


また、あの夢だ。





















『助けて。』


















女の子がまた、うずくまっている。



『先輩...』



きっと、この女の子は3年前の先輩だろう。



『助けて。』



『皆、死んじゃった。』



『もう、やだよ...』



『...!』



女の子が顔を上げて、驚いたようにこちらを見る。



俺は、女の子の頭を優しく撫でていた。



『あなたは、誰...?』



『俺は、片岡楓。』



『君の後輩、かな...?』



『後..輩...?』



『うん。』



俺はそう言って微笑む。



『絶対に、助けるから。』



『助けて、くれるの...?』



『うん。』



『本当?嘘じゃない?』



『うん。嘘じゃない。』



俺がそう言うと、女の子は泣いた。



泣いて、「怖い」と何度も言った。



俺は、何度も女の子の頭を撫でた。

















『絶対に助けるから。』


















『絶対に...』





















片岡 楓
...
自分の部屋のカーテンから、光が差し込む。
片岡 楓
はぁ...
夢か...





















学校の昼休み...







花江 結
ん!美味しー!
先輩はそう言いながら、弁当を食べる。
片岡 楓
美味しそうで何より。
花江 結
いやー。楓君にこんな生活力が
あったとはねぇー。
花江 結
お弁当、ありがと。
先輩はそう言って、笑う。
花江 結
ほら、楓君も!
先輩はそう言って、卵焼きを箸で掴み
俺の口の前に出す。
片岡 楓
い、いや、大丈夫です...
花江 結
何で?楓君が作ったお弁当だよ?
そう。俺が作った。けど...
片岡 楓
その箸、先輩が口付けましたよね?
花江 結
え?うん。そーだけど?
あ、駄目だ。この先輩。
花江 結
はい。あーん。
いや、俺、子供じゃない.....って⁉
片岡 楓
ムグ...
無理矢理かよ...
花江 結
ね?美味しいでしょ?
俺は、何回か卵焼きを噛んでから飲み込んだ。
片岡 楓
甘さが足りないかも...
花江 結
えー?これで充分美味しいよ?
先輩はそう言って、卵焼きを「ぱくっ」と食べる。
片岡 楓
俺が口付けた箸...
花江 結
ん?何か言った?
片岡 楓
いえ。何でも...























突然だった。


目の前に、ぬいぐるみが現れた。




















子供が持つような、可愛いやつじゃない。


なんか、こう、もっと怖い...

















口だけのぬいぐるみ。
サシビ
サシビ
やァ。僕はサシビ。
いい青春だネ。
片岡 楓
喋った...?
サシビ
サシビ
さて、片岡楓。君は選ばれタ。
選ばれ..た...?
サシビ
サシビ
楽しくなるといいねェ。
サシビ
サシビ
それじゃ、




















『リゲーム』

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