プリ小説

第36話

静かな世界に住む少年 〜1〜
野瀬 ハヤト
……。
………今日も世界は静かだなぁ…。
僕は野瀬のせハヤト。
生まれつき耳が聞こえない、難聴だ。
生まれた頃から世界は静かで今も静か。
周りの会話や音を聞いて言葉を覚えることが出来ないから、言葉も本でしか知らない。
他の人と会話する時には、いつも持ち歩いているノートを使っての筆談。
耳は聞こえないし、言葉も上手く喋れない。
だけど、学力や体力は問題はないから、普通に学校に通っていた。
トン、トン…
誰かに肩を叩かれる。
振り向くと、同じクラスで耳の聞こえない僕の面倒をよく見てくれる福留ふくどめリサがいた。
「今日はハヤトが日直だよ。」
僕の机の上に広げられたノートにリサがそう書くと、黒板を指す。
リサの指先を見ると、確かに日直は「野瀬」と書かれていた。
「ありがとう。」
「何か量が多そうだし、私も手伝うよ。」
教卓に置かれた大量のノート。
僕が半分、リサが半分持ち、教室を出た。
休み時間だったから、廊下には人が多い。
先に僕が歩くとぶつかる可能性があるから、リサが前を歩き、その後ろをついていく。
横目で見る人達はみんな笑顔で何かを話している。
僕の耳も聞こえたらいいのに…。
文字では話が出来るけど、言葉に出来ない。
その事実が少し悲しかった。
生まれた時から無音で静かな世界。
テレビを見ても、動きしか見えない世界。
学校の体育祭でも応援一つ聞こえない世界。
何でこんなにモヤモヤするんだろう。
つくづくそう思う。
すると、ブレザーの袖を引かれ、横を見る。
リサが前を指すと、階段だった。
考え事をしてて、前が見えなかった…。
心の中でリサに感謝しながら、歩き出す。
日直の仕事を終わらせ、授業を受け、そして帰宅する。
不便な毎日。
生まれつき、僕は神様に見捨てられている。
幼い頃から僕の家ですることと言えば、勉強や読書、絵を描くとかそんなことくらい。
外に出ることなんて絶対に無理だった。
家に帰り、宿題を終わらせ、夜ご飯を食べ、風呂に入る。
風呂に入った後、弟達はテレビを見て、笑顔になっている。
僕はそれが出来ないから部屋に戻った。
もし、耳が聞こえたらどんなにいいだろう。
この静かな世界がどんな風に変わるだろう。
家族やリサの声はどんな声なんだろう。
全てが想像だった。


…けど、実現したい。
部屋にある本やパソコンで耳が聞こえるようになる方法を必死に探す。
辿り着いたのは方法ではなく、都市伝説。
『黒い彼岸花』
野瀬 ハヤト
……?
耳が聞こえるようになるために彼岸花?
それに彼岸花は黒じゃなくて赤なはず…
自然と記事を開くと内容は普通の都市伝説でただのネタ話にしか見えない。
読んで、分かったのは5つ。


1つ、”黒い彼岸花”はどんな願いでも復讐でも叶えてくれること。

2つ、”黒い彼岸花”はある条件に当てはまり、強く願った者だけにしか見えないこと。

3つ、”黒い彼岸花”に触れると、自殺をしようとすること。

4つ、”黒い彼岸花”を回収する、天使と死神が存在すること。

5つ、”黒い彼岸花”によって、その願いや復讐を叶えても決して、幸せになれるとは限らないこと。
………もし、これが本当なら。
僕は身支度をすると、初めて1人で外に出る。
いつもは学校に行くとき、帰るときはリサが家までついてきてくれていた。
相変わらず静かな世界。
夜だと暗くて、冷たくて、何処か寂しい。
だけど、出会いは突然で。
近くの河川敷で月光に照らされ、風で揺れている一輪の”黒い彼岸花”を僕は見つけた…。

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✨舞✨
✨舞✨
いつも作品をお気に入りにしてくださっている方 ありがとうございます!! こんにちは!✨舞✨です! 更新日の目標:1日1話 《連載中》 『神は僕達を見捨てました』『僕の夢は未来の世界』 『下剋上教室 2学期』(下剋上教室の続きで書いています) 《休載中》 『GAME OVER』 《完結》 『DEATH GAMEシリーズ』 〜0〜「全ての元凶となったDEATH GAME」 〜1〜「これからDEATH GAMEを始めるよ!」 〜2〜「霧ヶ崎中学校卒業式編」 〜3〜「日本中を巻き込んだ生き残りゲーム」 〜4〜「DEATH GAMEは終わらない?」 『DEATH GAME Return』『君達の投票で命は決まる』 『死神の後継者』『学校閉鎖』『天才ゲーム』 『下剋上教室』 専用タグ↪︎✨舞✨ 主に👻ホラー👻を投稿します! いつも僕の作品にいいね!やコメントをしてくれる方 ありがとうございます! 応援のコメントを読んでいると物凄く嬉しくなります! 『✨舞✨の掲示板』 主に僕の作品の連絡、紹介などをしたいと思います! あらすじ等も作品よりも詳しく書く予定です!