
第14話
とても貧乏な少年 〜2〜
光加減の問題か?
普通なら赤いはずだが、道の脇に生えている
彼岸花は黒かった。
風で揺れ、綺麗。
だけど、少し恐ろしいような気がした。
つい、”黒い彼岸花”を抜いてしまった。
戻す?いや、難しいよな…。ごめんよ。
頭の中で謝ると立ち上がり、歩き出す。
向かったのは公園。
公園のブランコに座ると、レジ袋からハサミ
を取り出す。
両手でハサミを握る。
これで喉を刺せば、次はきっと普通の家庭に
生まれるはずだよな…?
死ぬのは怖いけど、俺は躊躇なく喉にハサミ
を突き刺す。
喉から溢れる血が地面を赤く染める。
俺の段々意識が遠のいていく。
やっと、解放され ───
俺の考えていることを読まれたように、続きを言われる。
周りは静かになり、道路を通っている車も
静止していた。
目の前を見ると、ニコニコする天使と漆黒の
マントを羽織る死神がいた。
遠のいていた俺の意識がハッキリとする。
喉を触るが、血も何もついていない。
ましてや、ハサミも新品の状態になった。
死ねなかったのか……
ニヤッと笑うと天使は両手を広げ…
こう宣言した。
隣のブランコの席に置いた”黒い彼岸花”に
視線を移す。
すると、その”黒い彼岸花”を天使は手に取り俺に問う。
願いを叶える?復讐したいか?そんなの…
俺の返事に驚きの表情を見せた天使。
俺を放って、2人で話す天使と死神。
天使を見ると、首を傾げていた。
死神の助言で軽くOKを出した天使。
実際に家族との思い出は形に残らないけど、
俺にとって一番の大切なもの。
だけど、もうさようならをする時だ。
気が付くと、時は動き出していた。
ハサミはレジ袋に入っていて、まるで何事も
なかったようだ。
レジ袋に何故か1万円が入っている。
1万円にはメモがクリップで止めてあり…
「世界が変わる前夜祭!私の奢りだよ!」
本文が書かれていて、その下に小さく
「神に見捨てられた天使より」と書いてある
神に見捨てられた天使、かぁ…
少し不思議に思いながらも、俺は1万円を
ポケットに入れるとコンビニに戻った……
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