第6話

天使と死神 〜1〜
784
2020/02/24 12:35
ノエル
あーあ、ユウ君。事故に遭った
みたいだね。
私とザクは、病室のベッドに横になっている
ユウ君とユウ君の手を握り泣いているメグミ
ちゃんを見ていた。
ノエル
ザク、感想は?
ザク
そうだな…まぁ、友達がいない
ユウに出来たことだけでもいい
ことなんじゃないか?
ノエル
ふ〜ん…
きっと、ザクの言う通りなのかな?
私には分からないや。
だって、人間じゃないんだもん。
ザクは元人間で生まれ変わりが死神ってこと
を前に言っていたから分かるかもしれない
けど、私は違うもんなぁ。
私は生まれつき天使。
ザクは元は人間で死神になった。
そこが私達の違い。
ユウ君、いじめのない生活はどうだった?
いなかった友達が出来て嬉しかった?
聞こえないし見えないけど生きる自信は?
ユウ君に聞きたいことが沢山思いつく。
ノエル
…面白いけど、人間の感情って
難しいんだね。
ザク
そう?
ノエル
うん。ザクの人間だった頃はさ
どんな人だったの?
ザク
それって本人に言うことか?
ノエル
いーから。
鎌を背中に担ぎ、ザクが少し首を傾げる。
ザク
まぁ、酷い人生だったさ。ゴミ
みたいで生きるのが嫌になる。
ノエル
ゴミみたいな人生、ねぇ…
ザク
それでノエルが孤独に続けてる
人間観察の餌の”黒い彼岸花”に
触って自殺したらこうさ。
死神に転生したことに対して、呆れたように両手を挙げた。
ノエル
私には”孤独”って言葉は分から
ないなぁ。
ザク
…その言葉も知らないのか。
ノエル
うん。人間達が言う”優しさ”も
”愛情”も、”孤独”も”寂しい”も
私には分からない。
ザク
そうか……。
ザクの顔は黒いモヤに隠れて見えない。
けど、悲しそうな声で返事をした気がした。
ザク
いつか機会があるのなら、人間
にでもなってみればいい。天使
のノエルなら可能だろ?
ノエル
まぁね、それもアリかも。
そう答え、私は微笑む。
ノエル
バイバイ、ユウ君。いい友達が
出来て良かったね。
ザク
次、行くぞ。
ザクに促され、私達は開いていた窓から外へ
と出た。
ノエル
願望も復讐も人間の欲っていう
のは強いから、私の人間観察が
終了するのはまだまだ先だよ。
ザク
ああ、ノエルが飽きるまで付き
合ってやる。
ノエル
ザク、ありがと。あ!
ザク
ん?
ノエル
次の標的ターゲット見ーつけた!
私はそして、空へと飛び立った。

プリ小説オーディオドラマ