第15話

とても貧乏な少年 〜3〜
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2018/10/07 09:07
その日は天使に貰った1万円で、久しぶりに
美味しいものを食った。
家に帰ると母さんがまだ、男とイチャついて
いた。


そんな母さんに俺は冷たい目で見ると、自分の部屋に入りスグに寝たのだった…
次の日…
男子
ショウ!
村雨 ショウ
ん?
男子
昼飯、食いに行くけど来るか?
村雨 ショウ
あ、行く行く!
久しぶりの購買。
いろんなパンが並んでいる。
男子
どれにしようかなー…
村雨 ショウ
じゃあ、俺は…
昨日の余った金で初めて好きなパンを買い、
友達と楽しく会話しながら食べる。
村雨 ショウ
……。
こんなに友達と話すのって楽しいんだな…
楽しかった昼休み。
午後の授業を受け、帰ろうとした時…
村雨 ショウ
あれ?
何故か、俺の靴箱に手紙が入っている。
『今日の放課後、校舎裏に来てください。』
女子っぽい字でそれだけが書かれていた。
え……え?俺、何かやらかしたか?
いや、思い当たることは1つもないけど…
貧乏で基本的に女子から引かれてた俺。
告白とかじゃなく、何かやらかしたとしか
考えることが出来なかった。
何をしたかを考えながら、校舎裏へ。
そこには…
夕凪 ヒカリ
良かった…
胸を撫で下ろす夕凪ゆうなぎヒカリがいた。
夕凪さんは性格も明るく男女にとても人気。
そして、超大金持ちで、この地域で夕凪家を
知らない者はまずいない。
村雨 ショウ
夕凪さんが何で…
夕凪さんに何かをやらかしたのなら、土下座
をしないと俺が死ぬかもしれない。
全身から冷や汗がでる俺。
すると、夕凪さんは…
夕凪 ヒカリ
あ、あの…村雨君!好きです!
もし良ければ…私と付き合って
くれませんか…?
村雨 ショウ
へ…?
間抜けな声を漏らした。
どうして?夕凪さんが俺を?
え、マジでどうして?
村雨 ショウ
え、な、何で俺?俺って貧乏で
夕凪さんと釣り合うようなやつ
じゃ……
本当にその通りだ。
凄い貧乏な俺が超大金持ちの夕凪さんと付き合うはずない。
夕凪 ヒカリ
あのね?この前、私が怪我した
時、ハンカチくれたでしょ?
あれが嬉しくて…
夕凪さんが頬を染め、恥ずかしそうに言う。
村雨 ショウ
あ…
そう言えば、そんなこともあった。
アルバイト代を使って買った新しいハンカチ
を初めて学校に持って行ったとき、体育の時
に夕凪さんが転んで…その時に、ハンカチを
あげた覚えがある。
村雨 ショウ
俺って本当に貧乏だよ?多分、
そろそろ家も無くなるし…
夕凪 ヒカリ
それでもいいの!
村雨 ショウ
じゃ、じゃあ…よろしく、お願
いします…
夕凪 ヒカリ
ありがとう!!
そう言って、夕凪さんは俺の手を握った。
夕凪 ヒカリ
良かったら…私の家に来ない?
お父さんに頼んで、一緒に住む
…とか駄目かな?
村雨 ショウ
えっ!?申し訳ないよ!!
夕凪 ヒカリ
大丈夫!きっと、お父さんなら
住んでいいって言うと思う!
流されるように俺は帰ったら夕凪さんの家に
お邪魔することになった。
村雨 ショウ
ただいま。
母さん
おかえり〜!
嫌いな声が奥の部屋から聞こえる。
俺はそのまま部屋に入ると、荷物をまとめ、
玄関に向かった。
母さん
あら?何処か行くの?
村雨 ショウ
夕凪さんの家。もしかしたら、
もう帰って来ないから。
母さん
ゆ、夕凪って…超大金持ちの家
じゃない!!仲良くなっ ──
話し続ける母さんを無視して、家を出ると、
言われた住所に向かった。
村雨 ショウ
うわっ、すげー…
夕凪さんの家はもう豪邸みたいで。
門だけでもかなり大きかった。
インターホンを鳴らすと、夕凪さんが出て
来て…
夕凪 ヒカリ
いらっしゃい!どうぞ!
広い敷地内を歩く。
玄関だけでも俺の家の何倍もありそうだ。
夕凪 ヒカリ
彼が村雨ショウ君よ。
夕凪さんの父親
こんにちは。
村雨 ショウ
こ、こんにちは…。
優しく笑う夕凪さんの父親。暫く軽く世間話
をして、最後に…
夕凪さんの父親
ヒカリから村雨君はちょっとお
金に困っていると聞いてね……
村雨君さえ良ければ、私達と一
緒に暮らさないか?
村雨 ショウ
本っ当にいいんですか…?
夕凪さんの父親
ああ、いいとも。ヒカリもそれ
を望んでいるようだ。
村雨 ショウ
ありがとうございます!
そして、凄い家賃の安いアパート住みだった
俺は一瞬にして、凄い広い超豪邸を持つ彼女
の家に住むことになった…

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