その日は天使に貰った1万円で、久しぶりに
美味しいものを食った。
家に帰ると母さんがまだ、男とイチャついて
いた。
そんな母さんに俺は冷たい目で見ると、自分の部屋に入りスグに寝たのだった…
次の日…
久しぶりの購買。
いろんなパンが並んでいる。
昨日の余った金で初めて好きなパンを買い、
友達と楽しく会話しながら食べる。
こんなに友達と話すのって楽しいんだな…
楽しかった昼休み。
午後の授業を受け、帰ろうとした時…
何故か、俺の靴箱に手紙が入っている。
『今日の放課後、校舎裏に来てください。』
女子っぽい字でそれだけが書かれていた。
え……え?俺、何かやらかしたか?
いや、思い当たることは1つもないけど…
貧乏で基本的に女子から引かれてた俺。
告白とかじゃなく、何かやらかしたとしか
考えることが出来なかった。
何をしたかを考えながら、校舎裏へ。
そこには…
胸を撫で下ろす夕凪ヒカリがいた。
夕凪さんは性格も明るく男女にとても人気。
そして、超大金持ちで、この地域で夕凪家を
知らない者はまずいない。
夕凪さんに何かをやらかしたのなら、土下座
をしないと俺が死ぬかもしれない。
全身から冷や汗がでる俺。
すると、夕凪さんは…
間抜けな声を漏らした。
どうして?夕凪さんが俺を?
え、マジでどうして?
本当にその通りだ。
凄い貧乏な俺が超大金持ちの夕凪さんと付き合うはずない。
夕凪さんが頬を染め、恥ずかしそうに言う。
そう言えば、そんなこともあった。
アルバイト代を使って買った新しいハンカチ
を初めて学校に持って行ったとき、体育の時
に夕凪さんが転んで…その時に、ハンカチを
あげた覚えがある。
そう言って、夕凪さんは俺の手を握った。
流されるように俺は帰ったら夕凪さんの家に
お邪魔することになった。
嫌いな声が奥の部屋から聞こえる。
俺はそのまま部屋に入ると、荷物をまとめ、
玄関に向かった。
話し続ける母さんを無視して、家を出ると、
言われた住所に向かった。
夕凪さんの家はもう豪邸みたいで。
門だけでもかなり大きかった。
インターホンを鳴らすと、夕凪さんが出て
来て…
広い敷地内を歩く。
玄関だけでも俺の家の何倍もありそうだ。
優しく笑う夕凪さんの父親。暫く軽く世間話
をして、最後に…
そして、凄い家賃の安いアパート住みだった
俺は一瞬にして、凄い広い超豪邸を持つ彼女
の家に住むことになった…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!