第2話

いじめを受ける少年 〜1〜
1,006
2018/09/22 04:53
僕は藤堂とうどうユウ、いじめを受けている。


理由は全く僕には分からない。
何で僕がいじめを受けないといけないのか、
おかしいとは思う。
けど、言えないのが現状だ。
ほら、また来たよ……
桃井 ミサキ
藤堂。
藤堂 ユウ
……。
この人は桃井ももいミサキ。
僕をいじめるグループの主犯だ。
桃井 ミサキ
おい、無視してんの?
藤堂 ユウ
…別に無視してないよ。
桃井 ミサキ
ウチらの飲み物買ってきて。
藤堂 ユウ
……。
僕は無言で立ち上がり、教室を出た。
悔しいけど従うしかなかった。


僕が反抗して桃井達がターゲットが変更する
と他の人がいじめられるから。


辛いけど、同じ気持ちを他の人に味わって
ほしくはなかったのだ。
藤堂 ユウ
黙って従うだけでいいんだ…。
桃井グループの人数分の飲み物を買うと、
僕は教室に戻る。
藤堂 ユウ
はい…
桃井 ミサキ
ったく、遅い。
舌打ちをしながら僕から強引に飲み物を奪い
取るとグループの女子達とキャッキャと話し
ながら弁当を広げ始めた。
僕は席に戻り、外をぼんやりと見つめる。
はぁ……鳥は自由でいいなぁ。
何事にも囚われずに空でのびのびとしてさ…


その時、僕自身は「籠の中の鳥」のような気
がして少しだけイラッときた。
何で僕がいじめを受けないといけないんだ?
何もしてないよね?
悪いのは全部、桃井達…
…けど、思ったところでダメだな、うん。
ぼんやりと見つめる外。


視界の隅に黒い花が見えたような気がした…
〜翌日〜
その日の昼休み、僕は購買に走った。
妹が購買で人気の高い焼きそばパンを一回で
いいから食べてみたいって言ったから。
僕の学校の購買はかなり人気が高い。
特に焼きそばパンは。


1日10個限定だから毎回争奪戦らしい。
だから、授業終了とともに必死に走り購買に
向かって、残り8個だった焼きそばパンを手
に入れることが出来た。
藤堂 ユウ
喜ぶだろうな…
焼きそばパンをリュックに入れ、考える。
ここで教室に戻っても桃井達に絡まれて、
最悪食べられそうだな…
そう思い、教室に向かう足を止める。


そして、トイレの個室で時間を潰した。
放課後…
桃井 ミサキ
藤堂。
桃井達に机を囲まれた。
早く帰らないといけないのに…
藤堂 ユウ
今日は用事があって…
桃井 ミサキ
スグに終わる。
そう言って、桃井と数人の女子が俺の両腕を
掴み、外へと連れて行く。


連れてこられたのは花壇がある校舎の脇。


丁度、僕の教室が見えて桃井グループの女子
が見えた。
藤堂 ユウ
何を…
桃井 ミサキ
いいよ〜!
女子
OK!ミサキ、やるよ〜!
窓を開けた女子が持っているのはリュック。
女子
そーれっ!
その女子は躊躇なく、3階の教室から僕の
リュックを外に向かって投げた。
藤堂 ユウ
あ…
地面にぶつかったリュック。


見た目はあまり変わっていないけど、きっと
中身はボロボロになっているだろう。


それに妹に買った焼きそばパンも…
桃井 ミサキ
あははははっ!!サイコー!!
女子
これじゃあ、筆箱、教科書とか
全部ボロボロだねぇ?
お腹を抑えて笑う桃井達。


やがて、何事も無かったようにその場から
いなくなった。
俺はフラフラとリュックに近付くと、見たく
ないのに自然と中を見た。
あるのは、破れた教科書にボロボロになって
しまった筆箱。そして、妹が楽しみにしてた
のにグチャグチャになった焼きそばパン。
藤堂 ユウ
……。
何で?どうして?
僕には妹を喜ばせることも許されないの?
桃井達はこんなことをして何で罰がないの?
無実の僕には何でこんなに罰があるの?
おかしい、よ……。
その時、僕は自然と……
藤堂 ユウ
あぁ、きっと神様は僕のことを
見捨てたんだね…。
って口にしていた。
また明日、妹を喜ばせるために頑張ろう。
そう思い、僕はリュックを取り立ち上がる。
体の向きを変えた時、花壇が見えた。
藤堂 ユウ
何だろう、この花……
そのとき、僕の目に見えた。
まるで僕のことを待っていたかのように花壇
に生えていた”黒い彼岸花”が ───

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