私が話し終わると、ザクは立ち上がりその場から飛んでどんどん遠くへ。
そんなザクを私は急いで追いかけた。
向かったのは例の綺麗な夕日が見れる崖。
夕日ではないけど、月が沈もうとしていた。
まだ早いからか、崖には人があまりいない。
だけど、その中に私が見たことあるような気がする人がいた。
黒いパーカーにデニムジーンズ。
フードからはみ出る黒髪は長く、風によってサラサラと揺れている。
ん〜…多分、あの子がトウカちゃんかな?
私は両手をパンッ!っと合わす。
すると、その子はこっちを向いた。
本人だと確信したのはザクはその子の方へ。
トウカちゃんは前髪を伸ばし、変化し水色になった目は隠していた。
そう言い、トウカちゃんは微笑む。
すると、私と目が合った。
そう言いながらもザクの声は明るい。
トウカちゃんと会えて、嬉しいのかな?
再会するってどんな感じなんだろう?
これでトウカちゃんの願いは完全に叶えた?
色々と浮かぶ疑問をかき消し、2人を見る。
見た目が変わってもザクがリクト君だった頃のように接するトウカちゃん。
いつもは冷静で静かなのに、トウカちゃんと会うと明るい声で話しているザク。
私は"幸せ"って言葉を聞いたことがある。
幸せの意味は"彼"が教えてくれた。
私にとっての"幸せ"が何なのかは分からないけど…2人にとっての幸せはこれなのかな…
明るく楽しそうな2人に思わず、私も微笑む。
そう言ったザクの声は何処か明るくて、これからの"黒い彼岸花"に選ばれる子達の願いに期待しているように見えた……。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。