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第3話

ねぇ、このままいさせて
猫を拾ってから何日か経った。愛玩動物は心を癒してくれるというがたしかに黒いものはもう動かなかった。
「ニャー」
なにを考えているのか到底わからない猫が僕の膝の上に乗る。心は楽になってきたがその度に彼女に当たってしまったことを後悔する。
「なあ」
僕は猫に話しかける。
「僕はさ、いっときの感情で彼女にひどいことをしてしまったんだ」
まるで信者が牧師に語りかけるように話した。
「ニャー」
随分と可愛い牧師だ。
「僕はもうすぐ死ぬんだ」
自分で言うと覚悟に聞こえる。
「ニャー」
猫が少し驚いたような声を出した。もしかしたら何か通じたのかもしれない。
「僕が死んだ時、彼女が責任を感じないように僕が悪いように話を切り出すつもりだったんだ」
後悔が押し寄せる。目が潤んでくる。
「それでもあんな言い方してはいけなかった。僕は最低だ。」
僕は泣いた。僕が泣いていいわけ無いのに僕は泣いた。
「ニャー」
僕を慰めてくれているのだろうか。とても暖かい。
「許されるなら彼女に謝りたい。でも会ってしまったら僕が死んだ時彼女を悲しませてしまう」
死と彼女。僕は比べるべきでもないものを無理矢理天秤にかけている。僕は猫を抱きしめる。こんな反省に意味はない。彼女に謝ならなくてはいけない。しかし猫とのこの一瞬が心地よく感じてしまう。許さないことはわかっている。それでも。僕は猫に話しかける。
「ねぇ、このままいさせて」
「ニャー」
僕は猫を抱きしめた。