湿った岩壁に手を当て、巨大スライムの気配を探りながら歩く音羽。それに続き3人も洞窟の奥へと進んでいく。
音羽が指を指した先には人1人がギリギリ通れそうな横穴だった
タローに続き、残りの3人も穴を潜るとそこには何もない所々に水溜まりがある広い空間が広がっていた。
音羽の声に皆一斉にわかゔぁの方へと視線を向けると、そこには天井を見つめたまま固まっているわかゔぁがいた。
タローがわかゔぁに声をかける
わかゔぁが指を指した先。高い洞窟の天井にウネウネと動くジェル状の物。
タローがそう呟やくと、そのジェル状の物がこちらに向かって落下して来た。4人は慌てて回避する。
落下したスライムは濁った音をたてて姿を変える。
姿を変えるスライムはどんどんと大きさを増し、遂に高い天井に達する程になる。昨日倒したトロールなど比べ物にならない程だ。
わかゔぁば先陣を切り、矢を三本、同時に放った。
矢は確実にスライムへと届いた。だが、そのスライム特有のジェル状の体に簡単にのみこまれてしまう。
森の中とは違い、電気蛍の明かりにより影を作る事ができる様になったタローが呪文により影の獣を作り出す。
その獣は真っ直ぐにスライムに向かい思い切り噛み付いた!!
だが、その獣も一瞬にしてスライムの体にのまれ、消えてしまう。
一際大きな声で鳴いたかと思うとスライムの体から触手の様な物が伸び、タローとわかゔぁに襲いかかった。
避ける間もなく吹き飛ばされ岩壁に激突する
吹き飛ばされた2人に、思わず視線を逸らしたennに更なる触手の攻撃が迫るが、音羽がennを抱え、間一髪でなんとか避ける。
そのまま物陰に隠れ作戦を練ろうとする2人。
そこにタローとわかゔぁが走りこんできた
ennは思いついた作戦を3人に伝えた
ーーーーガッシャンッッ!!
何かが割れる音がした瞬間。辺りが闇に包まれる。
突然訪れた暗闇にスライムは視界を奪われ辺りをキョロキョロとし始める。
それを確認した直後、物陰から4人が一斉に飛び出した。
音羽は手に魔力を集中し始める。
ennの呪文によりスライムの体が痺れ硬直する
直後、スライムの体は痺れ、その動きを止める
続いてタローが放った閃光弾がスライムの目の前で弾ける
視界を奪われ、体を痺れさせながらスライムは先程触手の攻撃の時に飛び散ったスライムの欠片を操り、手当り次第に攻撃をしかける。その内の幾つかが魔力を溜める音羽に襲いかかる
その攻撃は音羽には届かず、わかゔぁによるブーメラン攻撃により逢えなく撃破される。
音羽の手から放たれた最大威力の氷魔法。
それは冷気の嵐の如くスライムに襲いかかった。
その魔法により、
スライムはみるみるうちに凍りついていく。
そしてそのブヨブヨの体が完全に凍りついた
影と毒の弾、それに加え風の刃が凍りついたスライムに降りかかり、その体にひび割れをおこす。
わかゔぁが放った雷を纏う3本の矢が、ひび割れた体を射抜いた!
ガッシャンッッ!!!ガララッッ!!
完全に破壊された体では再生する事もできず、巨大スライムはそのまま消滅した。
ennの声にタローとわかゔぁが振り向くとそこには床にへたり込む音羽。
わかゔぁが音羽に背を向けてしゃがむ
わかゔぁが音羽を背負い、4人は出口へと向かった。
4人が井戸から出たその時、地響きが起こった。
4人が泉に到着すると同時。
泉の源泉から大きな音を立てて水が吹き出し、雨の様に降りかかる。
ーーーーーどんっっっ!!!ザァーーー
暫く経って、泉が完全に元の姿に戻った
タローが汲んできた水を音羽が飲む。
すると、その音羽の姿が変わり始めた。
音羽の髪は深い青色に、顔や腕にはキラキラと光る鱗。そして瞳は金色に変化していた。
こうして泉を元に戻した4人は捕虜になっているこたつとゑむ氏を救うため、ドワーフの村に戻るのであった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。