タロー達が泉の魔物を退治している頃。
ドワーフの村で捕虜になっている2人は昔話に花を咲かせていた。
檻から見える青い空を見上げ、ゑむ氏は話し始めた。
※ここから回想シーンになります
今から半年程前、ゑむ氏はある城下町に買い出しに来ていた。
メモを見ながら歩いていたので店の前の通路で人にぶつかってしまい、反射的に謝る。
ぶつかった男が右手をヒラヒラさせながら去って行く
次の店へと向かおうとした時、ふと懐が軽くなっている事に気がついた
先程ぶつかった男はスリだったらしい。
ゑむ氏に向かってニヤリとした笑みを向け、
路地裏へと消えて行くのを急いで追いかける。
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一方、こちらは城に程近い露店が並ぶ街道。
その一角にある紫色のテント。
そこには、そこそこ名の知れた魔術師が怪しげなアイテムを売り出していた。
鼻歌混じりに商品を棚に並べていく。
するとそこに
突然テントに侵入してきた城の騎士団員に
驚く事もなく、魔術師は返事を返す。
騎士団員がテントを出るのを見届け、
ennは早速準備に取りかかった。
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スリを追いかけるゑむ氏は細い路地裏をクネクネの曲がる男にイラだちを隠せずにいた。
そしてとうとう路地の行き止まりまで追い詰めた
男が投げ渡したサイフは確かにゑむ氏の物。中身も取られてはいなかった
モヤモヤとした気持ちを残しつつ、
本来の目的である店へ向かおうと路地を抜ける道へと向かう。
路地を抜け、大通りへと戻ると
どこかのギルドが隊列を組み、城へと向かって歩いていた。
道の石畳に躓き、膝を着く女の子の両手両足首、そして首に付けられた鉄製の枷から伸びる鎖を騎士団員が思い切り引っ張る。
いつもなら気にもしないはずのギルドの列。
だが、見つけてしまった。
見つけた瞬間には、体が勝手に動いていた。
ギルド団員は冷たい目で言い放つ。
大通りにいた人達が騒ぎに気づきざわざわと集まってくる
その騒ぎに気づき、先頭を歩いていたリーダー格の大柄な男が近づいてきた
城へと向かう男達を見ながらゑむ氏は拳を握りしめた。
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その日の夕方。スカウトされたennは騎士団員が言っていた通り、一度城へと集合し、そこで各チームへと分けられた。そしてそれぞれのチーム事に与えられた城の控え室にて一夜を過ごそうとしていた。
中々寝付けないennはこっそりと控え室を抜け出した。
城の城壁の上、月の光に照らされて黒い影が城へと侵入するのを柱の影に隠れて見つめる。
城の中へと向かい走り出した侵入者の後をennは追った。
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薄暗い廊下を歩き曲がり角を曲がろうとしたとき、
その肩を誰かが引き寄せた。
反射的に拳を握り攻撃しようとするが口を塞がれ近くにある小さな部屋へと連れ込まれる
連れ込まれた部屋の扉の向こう側から見回りの兵士の声が聞こえる。その声が遠ざかり、完全に聞こえなくなると口を塞いでいた手が解かれる。
ゑむ氏は警戒しながらも昼間起きた出来事をennに話した。
2人は生贄の女の子が捕まっている筈の地下牢に向け、部屋を出た。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。