バンッ
静かな戦場に響き渡る1発の銃声
死に損ないのヒーローが弔に向けて打ったはずの玉は弔に届くことは無かった
なぜなら……
…その玉は弔を庇ったあなたの心臓に当たったからだ
崩れ落ちる私を弔は抱き閉めてくれる
血を吐きながら弔の安全を確認する
弔は涙目になりながら私に聞いてくる
抑えきれなかったのか弔は目から大粒の涙を零した
ごめん…弔…
ほんとに…もちそうにないや…
本当はこの戦いが終わったら伝えようと思っていた言葉
この言葉…もっと早く言っとけばよかった…
こんなに好きって言って貰えて嬉しいな…
あ…やばいw
もう視界がボヤけてきた…
さっきまで痛かったのにもう痛くない…
死ぬんだ…
あぁ…眠い…
このまま目をつぶったらもう死ぬってことが分かる…
その瞬間、唇に柔らかい物が触れた
弔がキスしてくれた…
ギリギリ意識を保ちながら轟達…
いや、ねぇさん達の方を見て言う
…あぁ…もうほんとに最後だ…
最後に弔の手をギュっと握る
その言葉を最後に握っていた手の力が抜け、地面に落ちた…
冷たくなった私を弔は抱きしめた
最後にひとつ…弔は私にキスをした
10月15日、私は16年という短い人生を終えた
最愛の人の腕の中で…
死に際の顔は、弔曰く
"綺麗で、満面の笑みだった…"
みたい…
地獄で殺した人たちの罪を償ってから弔に逢いに行くよ
"大好きだよ…弔、ありがとう"
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!