週刊誌が出た。
前にヒロミからこんな感じで出るからと
聞いていたし、
ヒロミからの手厚いサポートのおかげで
ハナは動揺することもなく冷静だった。
しかし、報道は熱を上げ、
朝のエンタメ、昼間のワイドショーなど
どの局をつけてもヒロミの話題だった。
ハナは一般人のため、
目隠しがされたが、
分かる人には一目瞭然だった。
すぐに家族や友人から連絡がきた。
コウキからもLINEが来た。
胸が痛かった。
辛いのはコウキなのに
ハナは涙が止まらなかった。
コウキにこんな想いをさせて
自分だけ幸せになるなんて
自分は本当にひどい女だな。と思った。
ハナは複雑な気持ちだった。
いろんな覚悟でヒロミとこうなって
コウキを傷つけるのもわかっていたはずなのに…
実際コウキの気持ちを聞いてしまうと
胸が苦しく苦しくて…
この時は、
ヒロミが好きでたまらない自分が嫌だった。
ヒロミはハナを優しく引き寄せた。
何も言わずに抱きしめて、
そっとハナに寄り添った。
無言の時間が流れる。
ハナはヒロミの優しさが嬉しいのと
コウキへの辛い気持ちが重なって
思わず大粒の涙を流して泣いていた。
ヒロミは何も聞かない。
ずっとそばにいた。
ヒロミはそう言う事が当たり前に出来る
男だった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。