私はあれからどこかずっと上の空だ。
何を聞かれてもそっけない返事しかせず、ずっと頭にはあの子達のことで頭がいっぱい!
人魚の私が、人間のあの子達と遊んでもいいのかな?
そんなことばかり考えている。
パパやママにも隠し事があるのは悪いな…。
あの日以来、どこか罪悪感と私だけ違うのにということで遊びに行くことができていない。
『ちょっとティアこちらへ』
『なーに?ママ』
そう言って近くまで行くとママは真剣な目で見つめて話してくれた。
『あなた最近何か悩みがあるんじゃない?
それを話してとまでは言わないわ
あなたもそろそろ悩みが出てくる頃だというのも分かってる。
でも、あなたは何か悩んでるように見えるの。
だからそんなティアに人生の先輩として、ママとしてアドバイスさせて。
悩んだ時はやることよ!
しない後悔より上はないわよ
だからね、あなたもやってみなさい
何かまでは分からない。でも、ママは応援してるわ。
私は何があってもあなたの味方よ。
ちょっと長話になっちゃったわ。ごめんなさいね。』
その話をしてもらった瞬間、悩んでたことが全部なくなった。
『ありがと、ママ
大好きだよ』
そう言って私は眠りについた。
ーこんな夢を見た。ー
人魚も人間も関係ない世界。
みんな楽しそうに笑っていた。それを私は海から眺めていた。
だってこれは夢だと分かっていたから
ママの話を聞いた時私は思った。
私はネロたちに、人間たちに私が人魚だという秘密を墓場まで持っていかないといけない。
絶対バレてはいけないと何か心に決まったものがあった。
ごめんね。ママ。
私はする後悔よりもしない後悔を選ぶよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。