京都観光で他校の高校生達と一悶着あった後、無事に旅館に帰ることが出来た。
今回の修学旅行で殺せるんだったら、苦労してない。
いや、優月ちゃん?そんなキラキラした目で恐ろしい事言わないで??
莉桜と優月ちゃんに両手を引っ張られて、男湯に強制連行される。
嬉々として男湯の中を覗く女子中学生。普通にヤバい絵面。
私は、と言うと傍にある長椅子に座って頭を抱えている。あ、比喩じゃないよ。物理的なアレで。
渚の他に、杉野と岡島もいる。
そりゃ驚くよね。
優月ちゃんが男湯の更衣室の扉を開けて見せる。中には、殺せんせーのいつも着ている服が掛けてあった。
わかりたくなかったです。
言いながら先陣を切って男湯に進む莉桜。うん。もうツッコむのはやめよう。
岡島は論外。
莉桜がとうとう男湯の風呂場の扉を開けた。あああーーー…。
風呂場には、女々しく泡風呂に浸かった殺せんせーがいた。
なんか聞きたくなかった。
もう驚きとか感心よりも呆れの気持ちが先にあるんだよな。
そうでもないと、私が羞恥心を抑えた割に合わない。
謎の語呂合わせを言いながら殺せんせーが立ち上がると、浴槽に溜まっていたお湯…と言うより、殺せんせーの粘液ごと身体にまとわり付いて抜け出た。
いやまぁ、言葉だけなら常識的な事なんだけどね?そりゃ誰だって不本意で身体を見られるのは嫌だろうけど。こっちもこっちで本意で身体を見に来たわけじゃないんだよ。強制連行されたんだよ。友達に。せんせーの裸見に行こうって。
そんな事を考えている間に、殺せんせーは浴室の窓の隙間から外に逃げて行ってしまった。
こればかりは岡島に同意するしかない。
ていうか、このままだったら私が恥を忍んで(仮にも担任の)殺せんせーの裸を見に来た意味がない。
後で莉桜と優月ちゃんにはきちんとオトシマエってやつをつけてもらわないと。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。