第7話

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2022/05/28 14:50
昼。
俺は大きく伸びをして、
リュックからサンドイッチを取り出す。
そうすると、同じクラスの九瀬ここのせみなとが、
俺の前の席の椅子を引き、ちょこんっと座ってくる。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
槇原くん、サンドイッチ好きだね。
槇原 優羅
槇原 優羅
ん…、湊か。
そういうお前は…相変わらず綺麗な弁当だな。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
えへへ…、そうかな?
湊は嬉しそうに微笑むと、卵焼きを口に運ぶ。
湊はΩだが、不思議なことに何故か嫌悪感はなかった。


それどころか、守ってやりたくなるような気持ちになる。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
ん!?
俺がサンドイッチを食べようとすると、
湊が突然大きな声を出す。
槇原 優羅
槇原 優羅
ビクッ うぉ、どうした?
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
このおにぎり、具が入ってない…。
入れ忘れちゃったのかな…?
槇原 優羅
槇原 優羅
なんだ、そんなことか…。まぁ食えるんだったらいいんじゃねぇの。まだおかず残ってるし。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
うぅ…僕の梅干し…。
湊はあからさまにションボリすると、おにぎりをかじる。
まぁ…こんな感じで、湊は抜けてるとこがよくある。
おにぎりの具が無いなんて、しょっちゅうだ。

前なんて砂糖と塩間違えたり、
酷い時は味噌と醤油を間違えたこともあった。
何をどうしたらそうなるのか分からないが、そんなこともあり、俺にとって湊はどこか放っておけない弟のような存在だった。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
あ!そうだ!みてみて!
湊はパッと顔を上げると、
ポケットからシュークリーム……のようなクリームでベチャベチャな物体が入っている袋を取りだした。


…どうやって入れてたんだ…?
グチャグチャに潰れてるじゃん……。
槇原 優羅
槇原 優羅
それ、シュークリームか?
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
うん!コンビニでみつけたんだ。
すごい美味しそうじゃない?
槇原 優羅
槇原 優羅
湊が好きそうだな。おいしそう。
…潰れてクリーム飛び出てるけど。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
へへ…、槇原くんも食べる??
槇原 優羅
槇原 優羅
俺はいいよ。もうお腹いっぱいだし。
いいからほら、早く食え。時間なくなるぞ。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
あ!もうこんな時間!?急がないと。
湊はご飯の残りを口にかきこみ飲み込むと、
シュークリームを口に入れる。
槇原 優羅
槇原 優羅
ちょ、おい。クリーム。
俺は湊の口に付いたクリームを親指で拭う。

近くに拭くものがなかったため、ペロッと親指を舐めた。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
槇原くんってそういうこと天然でするから怖いよね。
槇原 優羅
槇原 優羅
はぁ…?なんのことだよ?
湊は笑いながらそう言うと、ビシッと指さしてくる。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
そういうことしたら、
普通の女の子は惚れちゃうんだからね!
槇原 優羅
槇原 優羅
いや、少女漫画かよ…。
こんなんで惚れてくれたら彼女作りに苦労してないわ。
九ノ瀬 湊
九ノ瀬 湊
とにかく!
あんまりこういうことしちゃダメだからね!
変な子が寄ってきちゃうよ!
槇原 優羅
槇原 優羅
はいはい、
何を思ってそう言ってるのか理解はできなかったが、とりあえず首を縦に振っておいた。

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