第6話

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2022/05/28 14:49
予鈴1分前。
槇原 優羅
槇原 優羅
やばいやばいやばいやばいッ…
俺は校門を走り抜けると、
急いで中履きに履き替えて廊下を走った。
先生
先生
いそげよ〜時間ねぇぞ〜
そんな呑気な先生の声が聞こえてくる。
中履きのかかとをつぶして教室まで走っていると、
ドンッと誰かとぶつかってしまった。
漣 結弦
漣 結弦
ッ…いって"ッぇ…
槇原 優羅
槇原 優羅
ッぁ、すみませ……
漣 結弦
漣 結弦
あ"ぁ?誰お前。
顔を上げてようやく気がつく。
やばい……漣結弦じゃん…。
漣結弦とは、この学校じゃそこそこ有名なαだ。


授業にまともに参加しないくせに成績は常に上位で、テストはどの教科も毎回95点以上をキープしている。
漣 結弦
漣 結弦
お前……誰だ……?
槇原 優羅
槇原 優羅
……槇原……です。
漣 結弦
漣 結弦
……誰だよ。
まぁ同じ学年でもないし分かるわけないだろう。


って俺はこんなことしてる場合じゃ……
槇原 優羅
槇原 優羅
あの、すみません、俺…
その時、学校中に予鈴が響いた。
あ、終わった……、
漣 結弦
漣 結弦
んな絶望みたいな顔すんなよ。
たかが1回の遅刻だろ。
槇原 優羅
槇原 優羅
あは、は…そうですね、
成績良くない奴からしたらその1回が命取りなんだよッ……!
漣 結弦
漣 結弦
ッ………!!!
突然、漣が眉をひそめる。
なんか…怒ってる…?
漣 結弦
漣 結弦
ッやば…何この匂いッ…
槇原 優羅
槇原 優羅
ぇ…?匂い…なんてします、か?
漣 結弦
漣 結弦
…お前、βか…ッ…
漣は舌打ちすると立ち上がる。
槇原 優羅
槇原 優羅
ぇ、…どこ行くんすか…教室あっちですけど…。
漣 結弦
漣 結弦
どこだっていいだろ。βお前に関係ない。
そう吐き捨てると、
体を引きずるようにして漣は行ってしまった。


本当はどこに行くのかなんて分かっている。


どうせΩのところだろう。


先程、漣はこの学校で有名と説明したが、
それには二つの意味が含まれている。


1つ目は成績面。


2つ目はΩとの関係について。


『Ωを無条件に食い荒らす男』


それが漣に付けられた異名のようなものだ。


その名の通り、漣は発情したΩを見つけては襲う。


Ωの意思なんて関係なく。




俺はそんな漣の後ろ姿を見届けたあと、ハッとする。
槇原 優羅
槇原 優羅
あッ…!…教室…急がねぇと…!
槇原 優羅
槇原 優羅
はぁ…。
…………めっちゃ怒られた……。


1回の遅刻くらい許してくれたっていいのに……。
俺はゆっくりと目を閉じ、授業が始まるのを待った。

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