第3話

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2022/05/28 14:48
後日。
俺は昼飯を食い終わり、机に突っ伏していた。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
ちょっとごめんな、通してくれ。
廊下の方からやけに通る男の声と、
女子の甲高い歓声が聞こえ、目が覚める。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
あ、いた。槇原くん。
槇原 優羅
槇原 優羅
ッ…
名前を呼ばれてドアの方を見ると、身長の高い白髪の男が立っていた。


この人…前のΩだよな……。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
そんな嫌そうな顔すんなよ、悲しいだろ。
ほら、ジャージ。ありがとな。
ちゃんと洗濯したから。
男は苦笑しながら紙袋を渡してくる。
槇原 優羅
槇原 優羅
…どーも…。
ふと男のネクタイに目を向けた。

…緑……。

うちの学校は学年によってネクタイの色が違う。

1年は青、2年は赤、3年は緑だ。

ネクタイが緑ってことは、この人3年生か…。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
なんだよ、不満そうな顔してんな。
あ、もしかして汗の匂いに興奮するタイプだったり……
槇原 優羅
槇原 優羅
違いますから。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
つまんねぇの。
……そんな冗談を言えるほど、俺に余裕はなかった。


早く会話を終わらせたい。早くこの男から離れたい。


そんな思いでいっぱいだった。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
そんなんじゃモテないぞ〜槇原くん。
槇原 優羅
槇原 優羅
うるさい……。
っていうかなんで俺の名前知ってんだよ…。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
ジャージ見れば一発だろ。
そうか、ジャージに苗字の刺繍が入ってるんだった…。

名前の部分だけ剃り落としとくべきだったかもしれない。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
ちなみに俺は碓氷 雪弥うすい ゆきや
この学校の3年生。お前の2歳上だよ。
槇原 優羅
槇原 優羅
聞いてねぇし…
心底興味無い。
その時、先輩のポケットから電話のコール音が聞こえてきた。
槇原 優羅
槇原 優羅
電話、なってますけど。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
はぁ…執拗いなぁ…。すぐ行くって言ったのに。
先輩は胸ポケットからスマホを取りだし、電話にでる。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
はいはい、ちょっとお届け物届けてただけだってば。すぐ行くって。
槇原 優羅
槇原 優羅
…?
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
はいはい、分かったから。じゃあ。
先輩は電話を切ると、ため息を着く。
碓氷 雪弥
碓氷 雪弥
じゃあ、槇原くん、ばいばい。
午後も頑張れよ。
先輩は手をヒラヒラと振り、教室を出た。
槇原 優羅
槇原 優羅
はぁ……、
あの人との会話はほんとに疲れる…。
俺は自分の席に座り、何となく窓の外を見る。
しばらくすると、どこか見覚えのある高身長の銀髪が、
体育館の裏側へ向かっているのが見えた。
チラッと時計を見ると、あとほんの少しで昼休みが終わる。
槇原 優羅
槇原 優羅
何してんだ…?あの人…。
少しの間目で追っていたが、
やがて影に隠れ見えなくなってしまった。


……なんで俺、あんなやつのこと目で追いかけてんだ。


そう思い、俺は再び顔を机に突っ伏した。

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