第2話

病院。
27
2021/04/01 10:00
風が優しく吹く 過ごしやすい暖かさの今日。

4月1日。


私は病院へと足を運んでいた。


理由は 最近の体調不良にある。


熱がある訳でもないのに 頭が痛み。

誰かが叫び狂うような耳鳴り。

そして極めつけは 色が見えずらくなったこと。

色が見えずらいことに気づいたのは

桜を見た時だった。

私は春という季節に咲く桜が好きだった。

その桜がいつもなら 優しい桃色に染っているはずが

今年は 白く見える。

初めは淡い桃色なのかな?

そんなことも考えた。

でも 違った。

どれだけ近づいてみても

どれだけ覗いて見ても

優しい桃色は私の目に入ってくることは無かった。


そして さすがにこのままじゃ生活すらも

危うくなるのでは、、、?

そう思い病院まで来たのだ。

病院は誰にでも平等な白さを見せる。

その白さが優しく見える者,冷たく見える者がいる。

私はどちらかと言うと後者だ。

これからなんらかの診察結果を、、、現実を突きつけられる。

それは 今まで幸せに過ごしていた私の

これからを奪うことになるかもしれないものであるから。

どんだけ足掻いてもその結果は変わることなどない。

院内に入ると様々な人がいる。

不安そうな顔の小さい子供。

それを慰めるように優しく諭すさとす母親。

何かを諦めた顔をしている老婆。

希望に満ち溢れた顔をする少年。。。

その中の誰もが 生きることに対して思うことがあるのかな、、、

そんなことを思いつつ

受付で診察券等を出し,名前が呼ばれるまで待つように言われた私は備え付けのソファに腰掛ける。

少しひんやりとしたソファは

少しずつ私の体温に近づいて行く。

ぼーっとしている私を現実に引き戻すかのような

優しい声が待合室に響く。
看護師
春河さーん、、、
春河 あなたさーん!
3番の診察室までお越しくださーい、、、
私は心の中で返事をして

3番の診察室へ向かった__。


Episode1:病院。

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