玄関に入る
沖田の家は案外質素だ。
ほとんどが和室で畳が一面に広がっている。
私は、近くのソファーに座った。
畳にソファーって変な感じ。
数分経って沖田が戻ってきた。
そういいながら消毒液を傷口に塗る。
私は度々悲鳴をあげたが、沖田は気にもしてない様子で上手に包帯を足に巻き付ける。
それっきり二人は何もしゃべらなかった。
当たり前だが、話さない沖田は想像以上に静かだ。何か話したそうでもなく、ドSがみなぎってるわけでもないごく自然な沖田は初めて見た。
地味な生活をしてたにしても、同じクラスであるからなにかと目にはつくし、いくらか話したこともある。だからこそ今の沖田は別人のように感じる。
それにしても大きな目をしていて綺麗……。
ってなに考えてるの私。
だが痛みでうまく動かない。
と言ってあなたを抱き上げた。
結局私は抵抗できず、いや…………。本当のことを言うと抵抗しなかった。
抱き上げられるのは初めてだ。
恥ずかしくて、だけど少し嬉しいような気もした。
私、おかしくなったのかな_____。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。