おう…………。態度変わったよ(笑)
ちょっ、お前空気読んでよ!
どうみてもこの光景、わかるでしょ?!
ねえ!!
と言って、アイツからもらった(正式に言えばかっさらった)干しいちごを二枚つまんで食べた。
うん、まあ普通に美味しい。
なんか少し甘ったるい気がするが。
なんでそんなに私に関わろうとするの。
今まで自分のことと、演劇部のこと以外なにも考えていなかったのに、アイツのことを今更知ってからおかしくなってしまった。
根拠がなくともあの半グレ集団の一員だって言いふらされたら、神楽ちゃん達からもきっと今までみたいに仲良くできない……
確実に絢子からも嫌われるじゃないの……
というか、ここにいられなくなってしまう……
屋上から立ち去ろうとした私をいとも簡単に捕まえ、アイツに持ち上げられた。
と言ってアイツは私を抱えたまま、屋上を下りていった。
私はそう叫んだが、アイツは何も言わなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!